問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
本問は当時の受験生が試験直後、
「これどうやって解くの?」
とざわついた問題だそうです。
確かに一見、掴みどころのない問題に見えますが、手を動かしていくうちに「要領」は分かってくるでしょう。
ただ、それをうまく言語化する、あるいは式に落とし込む部分が難しく、腕の見せ所です。
本問は東大お得意の「これは基本だよね?じゃあこうなったらどうする?」という味付けの問題で良問です。
ただ、ストレートではなく、少々薄皮一枚かぶせたような聞き方(問い方)をしているため、その味付けに気が付くのも難しいかもしれません。
(以下ネタバレ注意)
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点 \(P\) が進む方向は決まっている
点 \(P\) が進む方向を表す方向ベクトルは
\(\left(
\begin{array}{c}
1 \\
\sqrt{3} \\
\end{array}
\right)\)\(\longrightarrow\)\(\left(
\begin{array}{c}
-\sqrt{3} \\
1 \\
\end{array}
\right)\)\(\longrightarrow\)\(\left(
\begin{array}{c}
-1 \\
-\sqrt{3} \\
\end{array}
\right)\)\(\longrightarrow\)\(\left(
\begin{array}{c}
\sqrt{3} \\
-1 \\
\end{array}
\right)\)
と左折するごとに周期的に変化していきます。
そこで、
\(\vec{v_{1}}=\left(
\begin{array}{c}
1 \\
\sqrt{3} \\
\end{array}
\right)\) , \(\vec{v_{2}}=\left(
\begin{array}{c}
-\sqrt{3} \\
1 \\
\end{array}
\right)\) , \(\vec{v_{3}}=\left(
\begin{array}{c}
-1 \\
-\sqrt{3} \\
\end{array}
\right)\) , \(\vec{v_{4}}=\left(
\begin{array}{c}
\sqrt{3} \\
-1 \\
\end{array}
\right)\)
として、
1秒間の内訳
\(\vec{v_{1}}\) 方向に進む時間を \(t_{1}\) ,
\(\vec{v_{2}}\) 方向に進む時間を \(t_{2}\) ,
\(\vec{v_{3}}\) 方向に進む時間を \(t_{3}\) ,
\(\vec{v_{4}}\) 方向に進む時間を \(t_{4}\)
などと設定して考えていきます。
これにより、点 \(Q\) の位置ベクトル \(\overrightarrow{ OQ }\) が
\(\overrightarrow{ OQ }=t_{1}\vec{v_{1}}+t_{2}\vec{v_{2}}+t_{3}\vec{v_{3}}+t_{4}\vec{v_{4}}\)
と式として得られることになります。
もちろん、\(t_{1}+t_{2}+t_{3}+t_{4}=1\) を満たしながら動くときに \(Q\) の存在範囲を考えることになります。
本問は基本の拡張
直線のベクトル方程式
\(\overrightarrow{ OP }=s\overrightarrow{ OA }+t\overrightarrow{ OB }\) ( \(s+t=1\) )
で与えられる点 \(P\) の存在範囲は、直線 \(AB\) 上である
という基本事項は、難関大受験生であればもちろんインストール済みでしょう。
そう考えると本問は
\(\overrightarrow{ OQ }=t_{1}\vec{v_{1}}+t_{2}\vec{v_{2}}+t_{3}\vec{v_{3}}+t_{4}\vec{v_{4}}\) ( \(t_{1}+t_{2}+t_{3}+t_{4}=1\) )
で与えられる点 \(Q\) の存在範囲を考える問題で、上記基本事項の拡張であることが分かります。
上記基本事項を活かすような方針や式変形である
\(\overrightarrow{ OQ }=(t_{1}+t_{2})\cdot \displaystyle \frac{t_{2}\vec{v_{2}}+t_{1}\vec{v_{1}}}{t_{1}+t_{2}}+(t_{3}+t_{4})\cdot \displaystyle \frac{t_{4}\vec{v_{4}}+t_{3}\vec{v_{3}}}{t_{3}+t_{4}}\)
と見ることができればしめたものでしょう。
この式変形は初学者の段階ではテクニカルに見えるものの、学習を積み重ねていくうちに「常套手段の一つ」というレベルに昇華しているはずです。
この後の細々とした議論については解答で詰めてあります。
解答はコチラ