場合の数・確率系 実践演習

円周上の点で作る三角形【シグマで数える】【2001年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

円周上の正 \(4n\) 角形の頂点を用いて三角形を作るという、素材としてはよくある問題です。

ただ、素材は定番でも中身はマニュアル的態度で倒す態度の問題ではありません。

「結局こうなっていればいい」

ということを見抜く観察力や洞察力を要する問題です。

最後の最後まで気が抜けない要素も含んでおり、試験場では全体のセット次第で撤退するかどうかの判断に迫られる類の問題でしょう。

難易度的には絶妙な難易度です。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

イメージとしては

という、正方形\(\mathrm{P_{0}}\)\(\mathrm{P}_{n}\)\(\mathrm{P}_{2n}\)\(\mathrm{P}_{3n}\) の一辺の長さが \(\sqrt{2}\) であるイメージが持てれば、即

\(n \leq k \leq 3n\)

と片付きます。

(2) について

結局、

  • 添え字が \(+n\) されると距離が \(\sqrt{2}\) 離れる

というイメージが大切です。

1点目の固定

ひとまず3頂点の1つを \(\mathrm{P_{0}}\) で固定して考えます。

そうなると正方形 \(\mathrm{P_{0}}\)\(\mathrm{P}_{n}\)\(\mathrm{P}_{2n}\)\(\mathrm{P}_{3n}\) によって分けられる4つの弧に注目したくなるでしょう。

2点目の固定

今、反時計回りに順に決めていくとして、

  • 2点目を \(\mathrm{P}_{l}\)

とします。

そうなると

  • \(\mathrm{P}_{l}\) は図の弧 \(L_{2}\) 上

にくることになります。

つまり、\(l\) の範囲は

\(n \leq l \leq 2n\)

ということになります。

3点目の範囲

  • 3点目を \(\mathrm{P}_{m}\)

とします。

\(\mathrm{P}_{l}\mathrm{P}_{m} \geq \sqrt{2}\) を満たすためには先述した

  • 添え字が \(+n\) されると距離が \(\sqrt{2}\) 離れる

ということを意識すれば

というイメージをもつことができ、

\(l+n \leq m \leq 3n\)

という、\(m\) の範囲を得ることができます。

まとめると

結局頂点の1つを \(\mathrm{P_{0}}\) としたとき

2点目を \(\mathrm{P}_{l}\) ( \(n \leq l \leq 2n\) ) とすると

3点目の取り方は

  • \(3n-(l+n)+1=2n-l+1\)【通り】

あり、これを \(l=n\) のとき、\(l=n+1\) のとき、\(\cdots\) と数え上げていけばよく

\(\displaystyle \sum_{l=n}^{2n}(2n-l+1)\)

とシグマ計算で数えればよいわけです。

これを計算すると、

\(\displaystyle \frac{(n+1)(n+2)}{2}\)

を得ます。

頂点の1つを \(\mathrm{P_{1}}\) ,  \(\mathrm{P_{2}}\) ,  \(\cdots\) \(\mathrm{P}_{4n-1}\) としたときも同様なので

\(\displaystyle \frac{(n+1)(n+2)}{2} \times 4n=2n(n+1)(n+2)\) 【通り】

と数えていきます。

重複発生

うっかり、このまま

\(2n(n+1)(n+2)\) 通り

という結論にしてしまいかねませんが、これだと最後の最後でオジャンです。

例えば

  • \(\mathrm{P_{0}}\) を固定し、\(\mathrm{P}_{n}\) ,  \(\mathrm{P}_{3n}\) を選ぶ
  • \(\mathrm{P}_{n}\) を固定し、\(\mathrm{P}_{0}\) ,  \(\mathrm{P}_{3n}\) を選ぶ
  • \(\mathrm{P}_{3n}\) を固定し、\(\mathrm{P}_{0}\) ,  \(\mathrm{P}_{n}\) を選ぶ

というパターンを別々のものとしてカウントしています。

しかし、この3パターンの結果出来上がる三角形は同じものです。

このように、一つの三角形に対して3倍多くカウントされているわけです。

したがって求める \(g(n)\) というのは

\(g(n)=\displaystyle \frac{2n(n+1)(n+2)}{3}\)

ということになります。

まとめ

「例えば」というモデルケースを考えると、要領がつかみやすいと思います。

いきなりで混乱しそうであれば、一度具体的なモデルケースを何個か考えて見て、

「他も同じ要領じゃね?」

という気持ちになれれば半分はもらったようなものでしょう。

円周上の点によってできる三角形に関する問題としてよくある定番は

鋭角三角形や鈍角三角形を数えさせる

という問題です。

この定番寄りの話題については

参考正n角形の頂点によって作る三角形【2017年度 同志社大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   この手の問題は多くの問題集などにも収録されており、一度は経験したことのある人も多いでしょう。 また、正六角形や正八角形など ...

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で扱っていますので、必要に応じてご活用ください。

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