問題を整理する
未知数を \(a\) , \(b\) , \(c\) , \(d\) と見なせば、
$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+b+c+d = 0 \\
ad-bc = -p\\
a \geq b \geq c \geq d
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
という形で、 \(a\) , \(b\) , \(c\) , \(d\) を中心に整理したくなります。
この未知数 \(a\) , \(b\) , \(c\) , \(d\) に対して、等式は 2 本しかありません。
つまり、文字の個数に対して、等式の本数が足りない不定方程式の問題ということになります。
問題を見て思うこと
整数問題の基本は
整数問題の有力方針
- 積の形から約数の拾い上げ
- 余りで分類
- 評価する(範囲を絞る)
という3つの方針です。
素数 \(p\) の活かし方
素数の扱いとしては
- \(p=2\) 以外の素数は奇数であること
- 素数の約数は \(1\) と自分自身であり、素数の約数は拾いきれるということ
が特徴であり、これらが問題を解く中で効いてくることを身構えておきます。
そうなってくると、
を狙っていくことを考えていきたくなるでしょう。
偶奇については、与えられた等式から今すぐ何かがパッと言えるわけではなさそうですが、条件でわざわざ
「 \(p\) が奇素数である」
と言っているぐらいですから、どこかで奇数ということが効いてくることは意識しておきたいところです。
大小関係について
与えられた
\(a \geq b \geq c \geq d\)
という大小関係から、恐らく整数問題の有力方針の1つである
ということもどこかで利用することが考えられます。
ただ、今回は「負の整数」もあり得るため、最初に与えられた等式に対して不等式を繋ぎ評価するということをしても、あまり効果がなさそうです。
これも、解き進めていくうちに効いてくるのかなと、一旦保留しておきます。
路線1:対称式を活かす
問題を見て、身構えておくべきことを整理した段階で、いよいよ切り崩しに入ります。
自分が最初に目に付いたのは、与えられた等式が
和の形と積の形
という部分です。
そこで、その対称式を活かすべく、与えられた等式を
$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+d = -(b+c) \\
ad = bc-p
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
と見て、
解と係数の関係
\(X\) についての2次方程式
\(X^{2}+(b+c)X+bc-p=0\)
の解が \(a\) , \(d\) である。
と処理しようと思いました。
\(X=a\) が解であるため
\(a^{2}+(b+c)a+bc-p=0\)
ということになります。
積の形を作ろうということは身構えていましたので、これが
\((a+b)(a+c)=p\)
という形に変形できるということも、狙っていればスムーズに見抜けるでしょう。
この後は目論見通り、素数の約数が拾いきれることを活かしていきます。
路線2:1文字消去
という基本にしたがって、
\(d=-(a+b+c)\)
などと、1文字消去することも考えられます。
これを \(ad-bc+p=0\) に代入すると
\(-a(a+b+c)-bc+p=0\)
\(a(a+b+c)+bc=p\)
\(a^{2}+(b+c)a+bc=p\)
\((a+b)(a+c)=p\)
と先ほどの路線1に合流します。
ただ、正直、自分が一番最初に解いたときは
- 対称性が崩れるなぁ
- 1文字消去しても何か「焼け石に水」感が強いなぁ
という直感的な部分で敬遠してしまいました。
この後の処理
\(a+b \geq a+c \geq d+c=-(a+b)\)
ということに注意すれば
- \(a+b \geq 0\)
- \(a+b \geq a+c\)
であることから、
\((a+b)(a+c)=p\)
を満たすとき、
$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+b = p \\
a+c = 1
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
という形に限られることになります。
ここから、
$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
b = p-a \\
c = 1-a\\
d=-a-b-c=a-p-1
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
と、\(b\) , \(c\) , \(d\) が全て \(a\) を用いて表せます。
ここで、使い方の分からなかった大小関係にぶち込むと
\(a \geq p-a \geq 1-a \geq a-p-1\)
となり、これを整理すると
\(1 \leq p \leq 2a \leq p+2\)
を得ます。
そうなると、ここでも最初に身構えていた
\(p\) が奇数
という部分が効いてきて
連続する奇数 \(p\) , \(p+2\) の間に偶数である \(2a\) がいる
ということになり、
\(2a=p+1\)
となるしか逃げ道がありません。
これにより
\(a=\displaystyle \frac{p+1}{2}\)
と \(a\) を得て、\(b\) , \(c\) , \(d\) が全て \(a\) を用いて表せていることから、解決します。
解答はコチラ