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ラグランジュの補間法に関連する問題を扱ってみます。
一見するとゴッツい形になりますが、中身を見て見ると心地よさを感じる内容です。
(以下ネタバレ注意)
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(1) について
高々2次の整式 f(x) に対して、
f(\alpha)=0 , f(\beta)=0 , f(\gamma)=0
という相異なる3つの代入値が 0 となるなら、恒等的に f(x)=0 となる。
という主張です。
図形的に捉えると
y=ax^{2}+bx+c が相異なる3点
(\alpha \ , \ 0) , (\beta \ , \ 0) , (\gamma \ , \ 0)
を通るならば、y=0 という直線となるしかない。
ということです。
まぁ感覚的には「そりゃそうか」となります。
ただ証明問題と言うこともあり、受験生に解かせてみると、意外と四苦八苦しています。
f(x)=a (x-\alpha)(x-\beta)
と設定し、3つ目の f(\gamma)=0 ということから
a (\gamma-\alpha)(\gamma-\beta)=0
を得ます。
\gamma \neq \alpha , \gamma \neq \beta であることから、a=0 となるしかないことになるわけです。
(2) について
F(x)=\displaystyle \frac{(x-a_{2})(x-a_{3})}{(a_{1}-a_{2})(a_{1}-a_{3})}+\displaystyle \frac{(x-a_{3})(x-a_{1})}{(a_{2}-a_{3})(a_{2}-a_{1})}+\displaystyle \frac{(x-a_{1})(x-a_{2})}{(a_{3}-a_{1})(a_{3}-a_{2})}
と設定すると、
F(a_{1})=F(a_{2})=F(a_{3})=1
となります。
注意
この導出過程は実際に自分で紙面上で体感してほしい部分です。
この要領が後述するラグランジュの補間法の根元部分になります。
さて、(1) の結果を活用しようと思うと、=0 となっていてほしいので、
g(x)=F(x)-1
と設定すれば、
- g(x) の次数は 2 以下
- g(a_{1})=g(a_{2})=g(a_{3})=0
という (1) の活用が見込める条件となります。
ラグランジュの補間法
先ほどの
F(x)=\displaystyle \frac{(x-a_{2})(x-a_{3})}{(a_{1}-a_{2})(a_{1}-a_{3})}+\displaystyle \frac{(x-a_{3})(x-a_{1})}{(a_{2}-a_{3})(a_{2}-a_{1})}+\displaystyle \frac{(x-a_{1})(x-a_{2})}{(a_{3}-a_{1})(a_{3}-a_{2})}
に対して
F(a_{1})=F(a_{2})=F(a_{3})=1
を得る際の要領は文字で説明するよりも、紙面で自分で体感した方が掴みやすいです。
- 0 となって消える
- 約分されて消える
という現象が、部分部分でうまく発生することを体感してください。
例題
具体的な問題を通じた方が早いので、例題を出します。
例題
f(1)=4 , f(2)=3 , f(3)=6 を満たす2次式 f(x) を求めよ。
通常の解答
f(x)=ax^{2}+bx+c とおく。
f(1)=4 , f(2)=3 , f(3)=6 より
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a+b+c = 4 \\ 4a+2b+c= 3 \\ 9a+3b+c=6 \end{array} \right. \end{eqnarray}
が成り立ち、これを解くと
a=2 , b=-7 , c=9
ただ、先ほどの要領をうまく活用すれば以下のようになります。
上手い解答
f(x)=\displaystyle \frac{4(x-2)(x-3)}{(1-2)(1-3)}+\displaystyle \frac{3(x-1)(x-3)}{(2-1)(2-3)}+\displaystyle \frac{6(x-1)(x-2)}{(3-1)(3-2)}
=2x^{2}-7x+9
上述したように、
- 0 となって消える
- 約分されて消える
という現象が、部分部分で上手く発生し、f(1)=4 , f(2)=3 , f(3)=6 を満たす2次式となっています。
この方法を「ラグランジュの補間法」と言います。
余談(ニュートンの補間法)
上の例題
例題
f(1)=4 , f(2)=3 , f(3)=6 を満たす2次式 f(x) を求めよ。
において、次のような解答もあります。
f(x)=a_{0}+a_{1}(x-1)+a_{2}(x-1)(x-2) とおく。
f(1)=4 より a_{0}=4
よって、f(x)=4+a_{1}(x-1)+a_{2}(x-1)(x-2)
f(2)=3 より a_{1}=-1
よって、f(x)=4-(x-1)+a_{2}(x-1)(x-2)
f(3)=6 より a_{2}=2
以上から
f(x)=4-(x-1)+2(x-1)(x-2) で、整理すると
f(x)=2x^{2}-7x+9
このように a_{0} , a_{1} , a_{2} と順次求めていけるわけです。
この方法を「ニュートンの補間法」と言います。
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参考ニュートンの補間法【1995年度 甲南大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ニュートンの補間法と呼ばれるものが背景にある問題を扱います。 問題を解くこと自体はできるかもしれませんが、どこからそんな発想が出てきたの ...
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まとめ
繰り返しになりますが、自分自身で手を動かして要領を掴むことが大切です。
色々述べましたが、本問を土台とした問題はしばしば見受けられます。
その際には、自分の手で要領を会得しているかどうかが出来不出来を左右します。