実践演習 整数系

モニック方程式【最高次が1である高次方程式】【2019年度 東京学芸大学ほか】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

最高次の係数が 1 であるような整数係数 \(n\) 次方程式を \(n\) 次のモニック多項式と呼びます。

入試においては名前まで無理に覚える必要はありませんが、名前がついているものについては

「あ~、モニック方程式の話題ね」

みたいに、シナリオやストーリーを端的にキーワードとして頭に整理しておけるというメリットがあると思います。

モニック方程式は独特な流れとシナリオがあります。

中には知らなきゃ厳しいという内容の式変形を要求されることも多いですが、逆に言えば勉強していれば確保できる問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

 

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整数解 \(x=\alpha\) を設定し、与えられている方程式に代入すると

$$\alpha^{3}+a\alpha^{2}+b\alpha+1=0$$

を得るでしょう。

整数問題の基本の一つである「積の形からの約数拾い」の方針を睨んで、

\(\alpha\) \((-\alpha^{2}-a \alpha-b)\)=1

と整理してやると、\(\alpha=1\) ,  または \(\alpha=-1\) と絞れます。

答案上はこのように出すのがよいでしょうが、実際のところは

整数係数方程式特有の話題

\(a_{n}x^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+ \cdots +a_{1}x+a_{0}=0\) という \(n\) 次の整数係数方程式において

この整数係数方程式が有理数解をもつならば \(x= \displaystyle \frac{a_{0} の約数}{a_{n} の約数}\) の形に限られ、

とくに \(a_{n}=1\) というモニック方程式においては、有理数解ならば実は整数解である。

という有名事実を勉強したことのある人からすれば今回の題意の3次のモニック方程式が

整数解をもつとしたら \(x=\pm1\) しかありえない

と即座に言うことができます。定数項も \(1\) ですから。

もちろんこれは予想の範疇にとどめておき、記述式であればしっかりと記述はする必要があるでしょう。

ちなみに上の有名事実の証明については解答の【総括】の中で触れておきました。

今回は【復習用問題】として、4次のモニック方程式も準備しました(本問の趣旨とほぼ同様)

リベンジしたい方はぜひリベンジしてみてください。

【復習用問題】の問題も併せて用意しておきます。

先ほどのモニック方程式の基本自体はトップレベルを目指す志望者であれば常識になっていると思いますが、問題文からこの基本事項をインスピレーションするためには鋭さが必要でしょう。

というのも、

最高次の係数と定数項が 1 であることが「本問における最大の作為」

であると読み取ることが難しいと思います。

最高次が 1 である問題は日頃頻繁に目にしていますし、せいぜい

「出題者側が簡単な数値設定にしてくれたのかな」

程度の作為だろうとタカをくくっていた人も多かったのではないでしょうか。

多かれ少なかれ入試問題の半分、もしかしたらそれ以上は「そうなっているから解ける」という出題者の作為によって成り立っていると言っても過言ではありません。

例えば、係数に \(\sqrt{3}\) などの汚い係数があれば「どこかに\(30^{ \circ }\) や \(60^{ \circ }\) があるのか」などとすぐにバレそうです。

出題者の作為が気づきにくい問題が難問と言えるでしょう。

常日頃から問題の条件や設定に注意をはらい、アンテナを高くしたいものです。

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