実践演習 整数系

3乗和と素数の累乗【1984年度 東京工業大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

「素数の整数乗になる」という日本語で訊かれていますが、

\(p\) を素数、\(n\) を整数として

\(a^{3}+b^{3}=p^{n}\)

を満たす正の整数 \(a\) ,  \(b\) を全て求めよ。

という問題です。

明らかに誘導めいた (1) という設問はありますが、その誘導のありがたみを感じるためには薄皮一枚剥ぐ必要があります。

これが薄皮に感じるか、分厚い皮に感じるかという問題でしょう。

(以下ネタバレ注意)

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(1) について

\(d=(a-\displaystyle \frac{b}{2})^{2}+\displaystyle \frac{3b^{2}}{4}\) であり、\(d \gt 0\) ですから、示すべき不等式は

\(d \lt c^{2} \leq 4d\)

となります。

この不等式自体は手なりに差をとれば自然と示すことができるでしょう。

(2) について

(1) で考えた

\(c=a+b\) ,  \(d=a^{2}-ab+b^{2}\)

\(a^{3}+b^{3}=(a+b)(a^{2}-ab+b^{2})\)

と、\(a^{3}+b^{3}\) を因数分解したときのパーツです。

したがって、

\(cd\) が素数の整数乗

となるようなときを考えればよいことになります。

恐らく (1) と何かしら結びつけること自体は読み取れるでしょうが

「\(\displaystyle \frac{c^{2}}{d}\)?」

というように、(1) で考えた \(\displaystyle \frac{c^{2}}{d}\) という形がどのように効いてくるのか、よく分からないという人も多いと思います。

ここから前進するためには、冒頭述べた「薄皮」を一枚はがすことが必要です。

素数の整数乗ということは

\(cd\) が素因数を \(1\) 種類しかもたない

ということであり、

\(c\) ,  \(d\) がそれぞれ素数 \(p\) の累乗、すなわち

  • \(c=p^{k}\) ,  \(d=p^{l}\) と表せる

ということになります。

そうなると、

\(\displaystyle \frac{c^{2}}{d}=p^{2k-l}\)

ということになり、

\(1 \lt p^{2k-l} \leq 4\)

となります。

素数の整数乗の形で、\(1\) より大きく \(4\) 以下のものは

\(2^{1}\) ,  \(2^{2}\) ,  \(3^{1}\)

という3種類しかありません。

つまり、

\((p \ , \ 2k-l)=(2 \ , \ 1) \ , \ (2 \ , \ 2) \ , \ (3 \ , \ 1)\)

と限られるわけです。

ここまでくるとあとは個別検証です。

\(a+b=p^{k}\) ,  \((a+b)^{2}-3ab=p^{l}\) なので、

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+b = p^{k} \\
ab = \displaystyle \frac{p^{2k}-p^{l}}{3}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

ということになり、解と係数の関係で仕留めればよいでしょう。

本問はただでさえ、\(a\) ,  \(b\) ,  \(c\) ,  \(d\) という4文字が登場しているのに加え、新たに \(p\) ,  \(k\) ,  \(l\) という文字を追加して考えるという部分に勇気が必要です。

そのあたりを躊躇して前に進めなかった受験生も多かったと思われます。

(もちろん、これらの文字を設定せずとも根幹を見抜ければ結局は同じような流れに帰着するのですが)

そういった意味で、本問は決して簡単ではないため、できなかったとしても自信を失う必要はないと思います。

ただ、解説を聞いてしまうと悔しい類の問題でしょう。

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