(1) について
\(p!\) は
\(p \cdot (p-1) \cdot (p-2) \cdot \cdots \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1\)
であり、\(p\) 以下の全ての素数で割り切れます。
よって、\(1\) を加えた \(p!+1\) は
\(p\) 以下の素数で割った余りが \(1\)
ということになり、\(p!+1\) は \(p\) 以下の素数で割り切れないということになります。
(2) について
無限に要素が存在することを直接示すことは困難です。
そこで、方針としては背理法を思いつきたいところです。
素数全体の集合を \(P\) として、\(P\) が有限集合であると仮定します。
与えられた
「自然数を要素にもつ有限集合には最大の要素が存在する」
という命題を用いると、この集合 \(P\) には最大の要素が存在することになります。
その最大の要素を \(p\) として、\(n=p!+1\) という自然数について考えてみます。
\(n\) が素数であるならば
\(n\) が素数だとすると、\(n \gt p\) ですから、\(n\) は \(p\) より大きい素数ということになり、\(p\) の最大性に矛盾します。
\(n\) が合成数ならば
\(n\) が合成数だと、\(n\) には少なくとも 1 つ素因数が存在します。
ただ、(1) の結果から、\(n\) は \(p\) 以下の素数では割り切れません。
よって、\(n\) を割り切る素因数は \(p\) より大きいものということになり、これは \(p\) より大きな素数の存在を意味します。
したがって、これも \(p\) の最大性に矛盾します。
\(n\) が素数であっても合成数であっても矛盾するため、最初に仮定した \(P\) が有限集合であるという仮定が誤りであり、\(P\) は無限集合ということになります。
本問にまつわる事実
本問で扱った素数の階乗に関する有名な2つの事実について紹介します。
ウィルソンの定理
本問において、\(p!+1\) は \(p\) で割り切れませんでした。
しかし、
- \((p-1)!+1\) は \(p\) で割り切れる
ということが言えます。
さらに、
ウィルソンの定理
\(p\) が素数であることと、\((p-1)!+1\) が \(p\) で割り切れることは同値である。
という同値性も言えます。
素数砂漠
今回の \(p!+1\) というような数の作り方に倣って
\((n+1)!+2 \ , \ (n+1)!+3 \ , \ \cdots \ , \ (n+1)!+n+1\)
という \(n\) 個の連続した自然数を考えます。
\(k=2 \ , \ 3 \ , \ \cdots \ , \ n+1\) に対して、\((n+1)!+k\) は全て \(k\) で括れるため、\(k\) で割り切れる合成数です。
つまり、これは
ということを意味します。
全然素数が現れない区間ということで、この区間をよく素数砂漠と表現したりします。
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