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実践演習 極限・微分積分系

放物線と2直線で分けられる部分の面積【2003年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

放物線と直線により囲まれる面積についての処理について扱った問題です。

言われたことを言われたとおりにしかやれない人はさようなら

という大阪大学の声が聞こえてきそうです。

ボリューミーな問題が特徴の阪大ですが、本問は切れ味一発系統のパズル的問題です。

(以下ネタバレ注意)

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状況の把握

与えられたシチュエーションを図示してみると

の青色の部分が題意の等しいと言われている部分の面積です。

これらの面積を S_{1}S_{2} とします。

文字通り

S_{1}=S_{2}

と見て処理に入るのは得策ではないでしょう。

もちろん、やってできないとまでは言いませんが、面積導出の際の積分において、積分区間によって上下の関数が変わってしまい、めんどくさいことになる未来は目に見えています。

一工夫

そこで

というように S_{3} を補うことで

S_{1}+S_{3}=S_{2}+S_{3}

と見て処理に入っていきたいところです。

これならば、放物線と直線で囲まれる図形として

\displaystyle \frac{1}{6} 公式の活用

が見込まれます。

放物線と直線で囲まれる部分の面積

難関大志望者にとっては釈迦に説法ですが、放物線と直線で囲まれる部分の面積がなぜ \displaystyle \frac{1}{6} 公式で求まるのかについて確認します。

ひとまずは下に凸の放物線と直線で囲まれる部分の面積について考えます。

  • y=ax^{2}+bx+c  ( a \gt 0 )
  • y=px+q

と放物線と直線の式を設定します。

考える面積は

\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}\{(px+q)-(ax^{2}+bx+c)\} dx

ですが、この \alpha\beta の出どころは、交点導出の際に計算することになる

ax^{2}+bx+c=px+q

という2次方程式です。

ここから (px+q)-(ax^{2}+bx+c)=0 というものが

  • \alpha\beta を解にもつ最高次の係数が -a の2次方程式

ということから、

(px+q)-(ax^{2}+bx+c)=-a(x-\alpha)(x-\beta)

と変形できますから、面積 S

\begin{eqnarray} S &=&  \displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}\{(px+q)-(ax^{2}+bx+c)\} dx\\ &=& \displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}-a(x-\alpha)(x-\beta) dx\\ &=& \displaystyle \frac{a}{6} (\beta-\alpha)^{3} \end{eqnarray}

となります。

上に凸の放物線の場合も同様で、\displaystyle \frac{1}{6} 公式に帰着するカラクリを、手を動かすことで実感してみてください。

\displaystyle \frac{1}{6} 公式、\displaystyle \frac{1}{12} 公式の拡張

本問はどちらかというと、面積の話題の比重が大きかったですが、\displaystyle \frac{1}{6} 公式そのものの導出については

参考ベータ関数【6分の1公式などの拡張】【2015年度 横浜市立大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 通称 \displaystyle \frac{1}{6} 公式や \displaystyle \frac{1}{12} ...

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という話題もあります。

\displaystyle \frac{1}{6} 公式、\displaystyle \frac{1}{12} 公式の拡張について取り組みたいという方はぜひどうぞ。

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