実践演習 方程式・不等式・関数系

存在条件とその処理【斜辺の長さがa、面積がbとなる直角三角形】【2011年度 群馬大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

シンプルな問題ゆえに、とっかかりがつかめずに固まってしまう人もいるかと思われます。

まずは自分の中で進める部分まで進んで考えてみましょう。

 

(以下ネタバレ注意)

 

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まず、直角三角形の斜辺が \(a\) と与えられていることから、残る辺の長さを \(s\) ,  \(t\)  とでも置きます。

このように自分で文字を設定することで議論を進めるということは大切です。

このとき、\(\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
s^{2} + t^{2} = a^{2} \\
\displaystyle \frac{1}{2}st=b
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)

という関係式が成立します。

下手くそな \(a\) ,  \(b\)  だと直角三角形が存在しないわけです。

極端な話例えば \(a=1\) ,  \(b=1000000000000\) だとしましょう。

斜辺の長さが \(1\) という小さな直角三角形なのに、面積がバカでかいことになり、おかしいですよね。

もちろん、数式的には

このとき、\(\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
s^{2} + t^{2} = 1 \\
\displaystyle \frac{1}{2}st=1000000000000
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)  を満たす \(s\) ,  \(t\) が存在しないから、この \((a \ , \ b)\) はダメということになるわけです。

逆に言えば、\(\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
s^{2} + t^{2} = a^{2} \\
\displaystyle \frac{1}{2}st=b
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)  を満たす \(s\) ,  \(t\) が存在するような \((a \ , \ b)\) であればいいわけです。

したがって

\(\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
s^{2} + t^{2} = a^{2} \\
\displaystyle \frac{1}{2}st=b
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)を満たす \(s\) ,  \(t\)  が存在する

という「存在条件」を考えればよいことになります。

また、長さではなく「角度」の変数 \(\theta\) を導入するという考え方もできます。

角度の変数を導入するということは、必然的に三角関数の処理になっていきます。

なので、三角関数の扱いに習熟している必要があります。

\(b=\displaystyle \frac{1}{2} \cdot \ a\cos{\theta} \cdot \ a\sin{\theta}\) ,  すなわち \(\sin{2\theta}=\displaystyle \frac{4b}{a^2}\)  と整理でき

これを満たす \(\theta\) が存在するような \(a\) ,  \(b\)  に関する条件を求めればよいですね。

\(0\lt\theta\lt\displaystyle\frac{\pi}{2}\)、すなわち  \(0\lt 2\theta \lt \pi\) なので、\(0\lt \sin{2\theta}\leq 1\)  を得て、これに \(\sin{2\theta}=\displaystyle \frac{4b}{a^2}\)  を代入すれば、\(a\) ,  \(b\) を縛っている条件が出てきます。

あとは条件 \(a \gt 0\) ,  \(b \gt 0\) と合わせて考えて図示すれば解決です。

このように、難関大受験生の方は

変数の設定を考える

ということを本問を通じて1つの教訓にしていきましょう。

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