実践演習 方程式・不等式・関数系

和のa乗とa乗の和【式の特徴を見抜けるか】【2008年度 千葉大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

\(a\) が自然数であれば

\((x_{1}+x_{2}+\cdots +x_{n})^{a} \geq x_{1}^{a}+x_{2}^{a}+ \cdots +x_{n}^{a}\)

という本問とは逆向きの不等式が成り立つのは自明なのですが、本問はそう容易くはないでしょう。

どこから切り崩そうか、戦略から含めて考える必要があります。

(以下ネタバレ注意)

 

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登場人物の中で唯一自然数設定である \(n\) に関する命題であると捉えれば、有力な方針は「数学的帰納法」でしょう。

\(n=1\) のときはほぼ自明です。

\(n=k\) のとき

\((x_{1}+x_{2}+\cdots +x_{k})^{a} \leq x_{1}^{a}+x_{2}^{a}+ \cdots +x_{k}^{a}\)

と仮定し

\((x_{1}+x_{2}+\cdots +x_{k}+x_{k+1})^{a} \leq (x_{1}+x_{2}+\cdots +x_{k})^{a}+x_{k+1}^{a}\)

と見れれば、仮定から解決しますが、そのためには

\((x_{1}+x_{2})^{a} \leq x_{1}^{a}+x_{2}^{a}\)

という \(n=2\) のときを示す必要が出てくることになります。

この \(n=2\) のときの証明が思っているほど簡単ではないと思います。

よくある評価としては凸性を利用して \(y=x^{a}\) のグラフを利用するという方針があります。

\(f(x)=x^{a}\)  (\(x \geq 0)\) とすると、\(f(x)\) は上に凸なので、非負の実数 \(x_{1} , x_{2}\) に対して

\(\displaystyle \frac{f(x_{1})+f(x_{2})}{2} \leq f(\displaystyle \frac {x_{1}+x_{2}}{2})\)

すなわち

\(\displaystyle \frac {x_{1}^{a}+x_{2}^{a}}{2} \leq (\displaystyle \frac{x_{1}+x_{2}}{2})^{a}\)

となってしまい

\(2^{a-1} (x_{1}^{a}+x_{2}^{a}) \leq (x_{1}+x_{2})^{a}\)

と、逆向きの評価が得られることになります。

これはこれで、別の問題であればいい結果に繋がることもあると思いますが、今回はうまくいかないので、何かリカバリー策を考えることになります。

あらためて、今回のカギとなる不等式

\((x_{1}+x_{2})^{a} \leq x_{1}^{a}+x_{2}^{a}\)

を見てみると、同次式になっていることに気が付けばしめたものです。

同次式の扱いについては

同次式(斉次式)の扱いと絶対不等式としての処理【2016年度,1990年度 立命館大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   特徴のある式についてはその個性を活かした扱い方をします。 もちろん、そんな個性のある式はそんなに沢山あるわけではありません ...

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で取り扱っていますので、詳しくはそちらもご覧ください。

また、同次式だと見抜けなかった場合も、解けるには解けますが、中々苦しい式変形を要求されます。

そちらについては【総括】の中で触れておきましたので、ご確認いただければと思います。

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