場合の数・確率系 実践演習

ポリアの壺【仮定を味方につける】【2007年度 産業医科大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

ポリアの壺と呼ばれる有名問題です。

経験がないと、右往左往することになると思います。

結果自体は分かりやすく、インパクトがあるものですから今後の糧としてもよいと思います。

とは言え、難しさを実感したり、困難の素はどこにあるのかを実感し、それをどのように解決するかという数学を学ぶにあたり大切な態度を養ういい機会となる問題なので、初見であってもまずは限界まで考えてみてほしいと思います。

(以下ネタバレ注意)

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ポリアの壺とは

ポリアの壺

袋の中に赤球が \(a\) 個、白球が \(b\) 個ある状態からスタートして次のような操作を繰り返す。

(操作)

袋の中から1つ球を取り出し、色を記録して元に戻す。

その際、取り出した色と同じ色の球を1つ追加して袋に入れる。

このとき、\(n\) 回目の操作において赤玉が取り出される確率は

\(\displaystyle \frac{a}{a+b}\)

と \(n\) によらない。

本問を例に

本問の設定である \(a=3\) , \(b=2\) のときで、2回目に赤を取る確率を考えてみます。

  • 1回目で赤を取り、2回目も赤を取る確率

1回目の赤を取る確率は \(\displaystyle \frac{3}{5}\)

このとき袋の中身は赤 4 個、白2個なので

2回目に赤を取る確率は \(\displaystyle \frac{4}{6}=\displaystyle \frac{2}{3}\)

よって、

\(\displaystyle \frac{3}{5} \times \displaystyle \frac{2}{3}=\displaystyle \frac{2}{5}\)

  • 1回目で白を取り、2回目に赤を取る確率

1回目の白を取る確率は \(\displaystyle \frac{2}{5}\)

このとき袋の中身は赤 3個、白3個なので

2回目に赤を取る確率は \(\displaystyle \frac{3}{6}=\displaystyle \frac{1}{2}\)

よって、

\(\displaystyle \frac{2}{5} \times \displaystyle \frac{1}{2}=\displaystyle \frac{1}{5}\)

以上から

2回目に赤玉を取り出す確率は

\(\displaystyle \frac{2}{5}+\displaystyle \frac{1}{5}=\displaystyle \frac{3}{5}\)

となり、確かに1回目に赤を取る確率である \(\displaystyle \frac{3}{5}\) と同じで変化していません。

普通に考えると

ここから、

\(n\) 回目に赤球を取る確率は \(\displaystyle \frac{3}{5}\) \(\cdots\) (*)

であることを数学的帰納法を用いて証明してみます。

\(n=1\) のときは文句なく (*) は成立します。

\(n=k\) (\(k=1 \ , \ 2 \ , \ \cdots\)) のとき

\(k\) 回目に赤を取る確率が \(\displaystyle \frac{3}{5}\) であると仮定します。

\(k+1\) 回目に赤を取る確率について

  • \(k\) 回目に赤を取るとき
  • \(k\) 回目に白を取るとき

と分けると、行き詰まります。

\(k\) 回目に赤を取る確率自体は仮定から \(\displaystyle \frac{3}{5}\) ですが、そこに至る過程で袋の中身がどうなっているのかが分からないためです。

\(k\) 回目に白を取る確率も仮定から \(\displaystyle \frac{2}{5}\) と分かりますが、やはり袋の中身がどうなっているのかが分からず手詰まりです。

打開策

  • \(k\) 回目に赤を取るとき
  • \(k\) 回目に白を取るとき

と分けると、行き詰まったわけですから、

  • \(1\) 回目に赤を取るとき
  • \(1\) 回目に白を取るとき

と「最初の一手」で場合分けをします。

まずは、「\(1\) 回目に赤を取るとき」を考えてみましょう。

\(1\) 回目に赤をとるとき、その確率は \(\displaystyle \frac{3}{5}\) です。

このとき袋の中身は「赤が 4 個、白が2個」となっています。

ここで少し溜息が出ます。

帰納法の仮定は

「赤3個、白2個の状態からスタートしたとき」\(k\) 回後の操作で赤を取る確率が \(\displaystyle \frac{3}{5}\)

と仮定しています。

つまり、袋の中が「赤が 4 個、白が2個」となった瞬間、帰納法の仮定が使えなくなってしまいます。

ただ、

「赤4個、白2個からスタートしたときだったら、\(n\) 回後に赤が出る確率は \(\displaystyle \frac{4}{6}\) じゃね?」

と思えたらしめたものです。

打開策2

そこで、

赤 \(a\) 個、白 \(b\) 個の状態からスタートして \(n\) 回後に赤玉を取る確率が \(\displaystyle \frac{a}{a+b}\) である

と、一般化して証明することにします。

これを帰納法で示してみます。

赤 \(a\) 個、白 \(b\) 個の状態からスタートして \(k\) 回後に赤玉を取る確率が \(\displaystyle \frac{a}{a+b}\) である

と仮定します。

  • 1回目に赤を取るとき

その確率は \(\displaystyle \frac{a}{a+b}\) です。

このとき袋の中身は、赤 \(a+1\) 個、白 \(b\) 個となっています。

この状態からスタートして残り \(k\) 回の操作後に赤玉を取る確率は帰納法の仮定から

\(\displaystyle \frac{a+1}{(a+1)+b}\)

となります。

袋の状態まで含めて仮定してますから、この仮定は使ってよい味方となるわけです。

  • 1回目に白を取るとき

その確率は\(\displaystyle \frac{b}{a+b}\) です。

このとき袋の中身は、赤 \(a\) 個、白 \(b+1\) 個となっています。

この状態からスタートして残り \(k\) 回の操作後に赤玉を取る確率は帰納法の仮定から

\(\displaystyle \frac{a}{a+(b+1)}\)

となります。

よって、赤 \(a\) 個、白 \(b\) 個の状態からスタートして \(k+1\) 回後に赤玉を取る確率は

\(\displaystyle \frac{a}{a+b} \cdot \displaystyle \frac{a+1}{a+b+1}+\displaystyle \frac{b}{a+b} \cdot \displaystyle \frac{a}{a+b+1}\)

\(=\displaystyle \frac{a(a+1)+ab}{(a+b)(a+b+1)}\)

\(=\displaystyle \frac{a(a+b+1)}{(a+b)(a+b+1)}\)

\(=\displaystyle \frac{a}{a+b}\)

となり、帰納法完成です。

(2) について

\(2n\) 回の色の内訳が

赤が \(n\) 回、白が \(n\) 回

であればいいわけです。

ここから (1) に引きずられて、

\({}_{2n} \mathrm{ C }_n \ (\displaystyle \frac{3}{5})^{n}(\displaystyle \frac{2}{5})^{n}\)

としてしまってはいけません。

なまじ (1) で「赤が出る確率は毎回 \(\displaystyle \frac{3}{5}\)」という結果がある分、余計にそう思えてしまいます。

(1) で示した結果はあくまで

赤3個、白2個という状態からスタートして、\(n\) 回目に至る全ての途中経過を場合分けしてその各確率を足し合わせた結果、\(n\) 回目に赤を取る確率が \(\displaystyle \frac{3}{5}\)

ということです。

この「足し合わせる各確率」は全て異なるものです

赤が \(n\) 回、白が \(n\) 回出ればいいというものの

赤を取り出すタイミングによって、赤を取り出す確率は変わってきますし、白についても同様です。

ではどのように解決すればよいのかについては、解答を見る前にぜひ考えてほしいところです。

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