実践演習 整数系

ピタゴラス数とペル方程式【2011年度 三重大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

ピタゴラス数に関する問題で、印象に残るインパクトをもった問題です。

強力な誘導がありますから、思考力や発想力というよりは、問題の主張を把握し、誘導の意味を見出す読解力寄りの力が求められます。

なので、問題を解くこと自体はそこまで難問ではないでしょう。

今回は、\(x\) ,  \(y\) が連続2整数となるようなピタゴラス数についてスポットが当たっていますが、これについてのちょっとした深掘りも考えてみましょう。

(以下ネタバレ注意)

 

+ クリック(タップ)して続きを読む

(1) について

\(a^{2}+(a+1)^{2}=b^{2}\) であるという条件の下で

\((s \ , \ t \ , \ u)=(a^{*} \ , \ a^{*}+1 \ , \ b^{*})\) が ② の解である

ということを示します。

示すべきことをもう少し掘り下げていくと

\((a^{*})^{2}+(a^{*}+1)^{2}=(b^{*})^{2}+1\)

すなわち

\((a+b)^{2}+(a+b+1)^{2}=(2a+b+1)^{2}+1\)

でこれを整理すると

\(b^{2}-2a^{2}-2a-1=0\)

ということになり、これが示されればよいのですが、条件である

\(a^{2}+(a+1)^{2}=b^{2}\)

を整理すると、すぐに

\(b^{2}-2a^{2}-2a-1=0\)

であることが言えるため、解決します。

証明問題なので、書き方は天下り的に記述していきます。

後半に関しても同様です。

(2) について

求める3組のピタゴラス数のうち

\((x \ , \ y \ , \ z)=(3 \ , \ 4 \ , \ 5)\)

は、即座に見つかるでしょう。

\(x\) ,  \(y\) が連続2整数となるようなピタゴラス数を作る一連の流れが (1) で明示されています。

今手元にある \((x \ , \ y \ , \ z)=(3 \ , \ 4 \ , \ 5)\) を (1) に適用してみます。

今、

\((x \ , \ y \ , \ z)=(3 \ , \ 3+1 \ , \ 5)\)

は ① の解です。

\(a=3\) ,  \(b=5\) として (1) を見ると

\((s \ , \ t \ , \ u)=(3^{*} \ , \ 3^{*}+1 \ , \ 5^{*})\)

が ② の解となるわけです。

この \(3^{*}\) ,  \(5^{*}\) について計算すると

  • \(3^{*}=3+5=8\)
  • \(5^{*}=2 \cdot 3+5+1=12\)

ですから、

\((s \ , \ t \ , \ u)=(8 \ , \ 9 \ , \ 12)\)

が ② の解ということになります。

再び (1) の結果から

\((x \ , \ y \ , \ z)=(8^{*} \ , \ 8^{*}+1 \ , \ 12^{*})\)

が ① の解ということになります。

  • \(8^{*}=8+12=20\)
  • \(12^{*}=2 \cdot 8+12+1=29\)

ですから、

\((x \ , \ y \ , \ z)=(20 \ , \ 21 \ , \ 29)\)

が ① の解ということになり、2つ目のピタゴラス数が得られました。

3つ目についても、\((20 \ , \ 21 \ , \ 29)\) を基に (1) の結果を使い倒していけば、同様の要領で得られます。

\(x\) ,  \(y\) が連続2整数となるピタゴラス数

一般に \(x^{2}+y^{2}=z^{2}\) を満たす原始ピタゴラス数 \((x \ , \ y \ , \ z)\) は、互いに素な整数 \(a\), \(b\) を用いて

\((x \ , \ y \ , \ z)=(a^{2}-b^{2} \ , \ 2ab \ , \ a^{2}+b^{2})\)

または

\((x \ , \ y \ , \ z)=(2ab \ , \ a^{2}-b^{2} \ , \ a^{2}+b^{2})\)

となります。

ピタゴラス数については

テーマ別演習:ピタゴラス数

ピタゴラス数 第1講【平方剰余】【2004年度 旭川医科大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   \(a^{2}+b^{2}=c^{2}\) を満たす自然数 \((a \ , \ b \ , \ c \ )\) の組をピタゴラス数と言い、特に \(a\) , \(b\) , \(c\)  のどの2つも互いに素であるとき、原始ピタゴラス数と言います。 原始ピタゴラス数に関する入試問題は頻出であり、今回は何題かピックアップしてシリーズものとして取り上げたいと思います。 シリーズ一覧はこちら   今回は第1講ということで ...

続きを読む

ピタゴラス数 第2講【原始ピタゴラス数の一般解】【1999年度 京都大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   ピタゴラス数についてのテーマ別演習第2講です。 シリーズ一覧はこちら 第2講では原始ピタゴラス数の一般解について考えます。 この問題だけ見ると、 「なんだこのオチ」 と思うかもしれませんが、実はこのオチからもう少し話を進めると   原始ピタゴラス数の一般解 \(m\) ,  \(n\) を \(m \gt n\) を満たす互いに素で、偶奇の異なる自然数とする。 この \(m\) ,  \(n\)  を用いて、\(a^{ ...

続きを読む

ピタゴラス数 第3講【拡張版の等式】【2000年度 横浜国立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   ピタゴラス数についてのテーマ別演習第3講です。 シリーズ一覧はこちら 今回はピタゴラス数の拡張として \(a^{2}+b^{2}+c^{2}=d^{2}\) を満たす自然数 \(a\) , \(b\) , \(c\) , \(d\) について扱います。 (以下ネタバレ注意)     + クリック(タップ)して続きを読む 聞かれていることについては第1講で扱った平方剰余に近いものがあります。 そこで、(1) で ...

続きを読む

ピタゴラス数 第4講【イェスマノヴィッツ予想】【有名事実】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   シリーズ一覧はこちら   非常にシンプルな問題ですが、難問です。 本問は歴史的には1955年にシェルピンスキーという数学者によって解決されました。 その後、この問題は一般のピタゴラス数についても成り立つか?という疑問に変わっていきます。 すなわち \(a\) , \(b\) , \(c\) を \(a^{2}+b^{2}=c^{2}\) を満たす正の整数とする。 \(a^{x}+b^{y}=c^{z}\) を満たす正の ...

続きを読む

で扱っており、特に一般解の導出については第2講でスポットを当てています。

今回は

\(x=y+1\) または \(y=x+1\)

となるとき、すなわち

\(a^{2}-b^{2}=2ab+1\)

または

\(2ab=a^{2}-b^{2}+1\)

のときを考えるわけです。

これは

\((a-b)^{2}-2b^{2}=1\)

または

\((a+b)^{2}-2a^{2}=1\)

と変形できます。

どちらについても

\(X^{2}-2Y^{2}=1\)

という構造をしているため、この不定方程式の整数解を求めたくなるでしょう。

これは「ペル方程式」と呼ばれるもので、

\((X \ , \ Y)=(3 \ , \ 2) \ , \ (17 \ , \ 12) \ , \ \cdots\)

という整数解があります。

ペル方程式の扱いと基本については

テーマ別演習:ペル方程式

ペル方程式 第1講 【ペル方程式とは】【ペル方程式の解とn乗展開】【2010年度 三重大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   表向きは数学的帰納法の標準的な練習問題です。 本問を解くだけならば、そこまで難しい話ではありません。 (『数学的帰納法により示せ』と方針まで書いてくれています。) ただ、それで終わらすにはもったいない話題である「ペル方程式」を扱った問題なので、少しふれておこうと思い、今回シリーズものとしてテーマ別演習で扱うことにしました。 このシリーズの一覧はこちら   ペル方程式とは \(x^2-Dy^2=\pm 1\)  ( \( ...

続きを読む

ペル方程式 第2講 【ペル方程式の解と二項展開】【1994年度 東京工業大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   「ペル方程式」シリーズ第2弾です。 このシリーズの一覧はこちら   今回は一見ペル方程式を前面に押し出しているわけではないですし、知識の有無が出来不出来には直結しません。 ただ、前回の内容を学習した状態で、本問を最後まで解ききってみると、一本の線で何かが繋がる感覚になると思います。 以下は単純に「純粋にこの問題を解く」という観点の内容です。 ( 以下ネタバレ注意 )   +クリック(タップ)して続きを読む 帰 ...

続きを読む

ペル方程式 第3講【ペル方程式とブラーマグプタの恒等式】【1998年度 お茶の水女子大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「ペル方程式」シリーズ第3弾です。 このシリーズの一覧はこちら 併せて学習すると、理解が深まると思います。   さて、今回はペル方程式を不思議な恒等式(ブラーマグプタの恒等式)からアプローチするという問題です。 このブラーマグプタの恒等式をどう使っていくか、という活用力が問われます。 式の形を観察する力や、その形から次の一手をインスピレーションする力など、脳の様々な場所が刺激されると思います。 ぜひトライしてみてください。 &nbs ...

続きを読む

ペル方程式 第4講【ペル方程式の解と近似】【1984年度 一橋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ペル方程式の第4講は 「ペル方程式の解と近似」 という話題を扱います。 この話題を扱ううえでうってつけの例題です。 ペル方程式の解を用いて、\(\sqrt{2}\) の近似の精度をよくできるということを証明するというオチです。 初見であっても適切な誘導があり、割と親切な設計となっているため完答を狙いたいところです。 このシリーズの一覧はこちら (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について このシリーズで散々扱っ ...

続きを読む

で扱っています。

例えば \((X \ , \ Y)=(3 \ , \ 2)\) というペル方程式の解によって、\((a-b)^{2}-2b^{2}=1\) において

\(a-b=3\) ,  \(b=2\)

とすることができるわけで、これにより

\(a=5\) ,  \(b=2\)

を得ます。

ここから

\((X \ , \ Y \ , \ Z)=(20 \ , \ 21 \ , \ 29)\)

という所望のピタゴラス数を得るわけです。

\((a \ , \ a+1 \ , \ b)\) と \((a^{*} \ , \ a^{*}+1 \ , \ b^{*})\) が ① や ② の解を行き来する面白さに加え、ピタゴラス数とペル方程式という2つの大きなテーマが手を結んでいることに奥深さを感じますね。

解答はコチラ

-実践演習, 整数系
-

© 2022 MathClinic