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一見複雑に見える数が、実はシンプルな数でした、ということを示す問題で、背景には3次方程式の解の公式(カルダノの公式)があります。
本問以外にも類題は多数あり、経験済みという方も多いかもしれません。
大抵誘導が付いていますから、その誘導の流れをきちんと汲み取ることができれば、背景を知らなくとも問題を解くこと自体はそこまで難しくないと思います。
(1) においては x^3 を計算することになると思いますが、
u=\sqrt[3]{5\sqrt{2}+7} , v=\sqrt[3]{5\sqrt{2}-7}
などと、置き換えにより少しでも目に優しくしましょう。
出来る人ほど置き換えというものをバカにしがちなのですが、
汚いものに直接触れるのは、衛生上よろしくありません。
この問題に限らず、汚い数値を扱う際には「置き換え」というゴム手袋をつけて処理するという工夫を心がけてみてください。
さて、本問の背景にあるカルダノの公式についてです。
詳細については解説の中でしていますので、概略について記しておきます。
一般の3次方程式は x^{3}+ax^{2}+bx+c=0 と、最高次の係数を 1 にできます。
さらに x=X-\displaystyle \frac{a}{3} と置き換えると
X^{3}+pX+q=0 \ \cdots (☆)
という形に帰着できます。
ここから考え方は2つあります。
【方法1】
X=u+v が (☆) の解とすると、この u , v は
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} u^{3} + v^{3} =- q \\ uv =-\displaystyle \frac{p}{3} \end{array} \right. \end{eqnarray}
を満たすようにすればよく、一旦 u^3 , v^3 を解と係数の関係で見つけることができます。
それらを u^3=U , v^3=V とします。
\omega を \omega^3=1 を満たす虚数解の1つとして
X=\sqrt[3]{U}+\sqrt[3]{V} , \sqrt[3]{U}\omega+\sqrt[3]{V}\omega , \sqrt[3]{U}\omega^2+\sqrt[3]{V}\omega^2
という形で (☆) の解を得ることができます。
【方法2】
X^{3}+pX+q=0 を将来的に
頻出
a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)
という因数分解によって仕留めることを目論むと
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} u^{3} + v^{3} = q \\ uv =-\displaystyle \frac{p}{3} \end{array} \right. \end{eqnarray}
となる u^3 , v^3 を解と係数の関係から出してやります。
すると (☆) は
X^{3}+u^{3}+v^{3}-3uvX=0 , すなわち
(X+u+v) (X^{2}+u^{2}+v^{2}-uX-vX-uv)=0
と因数分解できることになり、(☆) の解を得ることができます。
本問の後に、
【復習用問題】(本問の類題)
【復習用問題2】(方法2の路線の問題)
をつけておきましたので、確認用に利用してください。