素数の階乗【ウィルソンの定理】【素数砂漠】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 素数の階乗を用いた興味深い性質について見ていきます。 問題のオチは素数が無限に存在するということの証明で、この事実の証明自体は で扱っていますが、アプローチは素数の階乗を用いたものです。 上の記事は素数の積を用いたアプローチですが、本問は \(p!\) を用いたものです。 まぁ、\(p!\) の因数の中には \(p\) 以下の素数が全て入っていますから、基本的に全く別のことをやっているというわけではないでしょう。 (以下ネタバレ注意) &nb ...
連続する累乗数【ミハイレスクの定理】【2018年度 東北大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(3\) の累乗数と \(2\) の累乗数で連続するものを考えるという問題です。 \(3^{1}\) と \(2^{1}\) というのはほぼ自明な解ですが、その他はどうでしょうかということがこの問題の趣旨です。 1844年にカタランという数学者によって カタラン予想 \(x\) , \(y\) , \(m\) , \(n\) を \(1\) より大きい整数とするとき \(x^{m}-y^{n}=1\) を満たす \(x\) , \( ...
整数値多項式【整数を代入したら整数が返ってくる多項式】【2013年度 中央大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 整数を代入したら、整数の値が返ってくるような多項式について扱います。 以下では便宜上、類題2で名付けられている 整数値多項式 という名称で以下呼ばせていただきます。 ここで扱うのは多項式の有名な性質の1つであり、しばしばネタにされる話題です。 色々訊かれることはありますが、その中で今回の話題を学ぶにあたり素直に訊 ...
ペル方程式 第4講【ペル方程式の解と近似】【1984年度 一橋大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ペル方程式の第4講は 「ペル方程式の解と近似」 という話題を扱います。 この話題を扱ううえでうってつけの例題です。 ペル方程式の解を用いて、\(\sqrt{2}\) の近似の精度をよくできるということを証明するというオチです。 初見であっても適切な誘導があり、割と親切な設計となっているため完答を狙いたいところです。 このシリーズの一覧はこちら (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について このシリーズで散々扱っ ...
不定方程式の難良問【2007年度 京都大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 与えられた \(p\) という文字を使ってよい中で、条件を満たす整数 \(a\) , \(b\) , \(c\) , \(d\) を求めるという不定方程式の問題です。 試行錯誤的にやってみたら解けた 戦略をもって見通しをもちながら解けた そもそも手も足もでなかった という3タイプに分かれると思います。 試験場においては、解けたもん勝ちという側面が強いですが、普段の学習においては爪がひっかかる部分をどのように見出していくか目を光らせる訓練 ...
3乗和と素数の累乗【1984年度 東京工業大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「素数の整数乗になる」という日本語で訊かれていますが、 \(p\) を素数、\(n\) を整数として \(a^{3}+b^{3}=p^{n}\) を満たす正の整数 \(a\) , \(b\) を全て求めよ。 という問題です。 明らかに誘導めいた (1) という設問はありますが、その誘導のありがたみを感じるためには薄皮一枚剥ぐ必要があります。 これが薄皮に感じるか、分厚い皮に感じるかという問題でしょう。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タ ...
3文字の基本対称式と最大公約数【2022年度 東京工業大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3文字の基本対称式に関する最大公約数について考える問題で、見た目のインパクトが大きい問題です。 2文字の基本対称式についての 有名事実 正の整数 \(p\) , \(q\) に対して \(p+q\) , \(pq\) が互いに素 \(\Leftrightarrow\) \(p\) , \(q\) が互いに素 という事実の、3文字への拡張ということになります。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む ...
2022年度 九州大学 理系第3問【不定方程式の特殊解】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) よくある整数問題に見えますが、(3) まで完走しようと思うと大変です。 (1) は 「\(n\) が偶数だと整数にならなくないか?」 という疑問が湧いてくれば、 今回の問題で考える①を満たす \(n\) というのが奇数である ということに気がつくと思います。 なので、 \(n=2N-1\) などとおいて手なりに進めていけば解決です。 (2) については \(168=2^{3} \cdot 3 \cdot 7\) と、素因数分解し、\(n^{2 ...
2022年度 名古屋大学 理系第2問【サイコロの目と確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) サイコロの目によって得られる値に関する確率を考える問題です。 この手の問題は、 最終的に愚直に調べきる という方向性となることが多いです。 その際は闇雲に調べるのではなく、 何かを固定して、残りがどうなっているかを考える のが、自然かつ基本です。 例えば、(1) だと \(c=1\) のときは \(a\) , \(b\) はどうだろ? \(c=2\) のときは \(a\) , \(b\) はどうだろ? というような感じです。 また、サイコ ...
2022年度 京都大学 理系第3問【3整数の最大公約数】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 第3問もシンプルな題意です。 3つの整数の最大公約数をいきなり扱おうとしても中々難しいものがあると思います。 ひとまず2つの最大公約数を考えようとするのが自然でしょう。 そこで、\(n^{2}+2\) と \(n^{4}+2\) の最大公約数 \(G_{n}\) について考えてみます。 \(n^{4}+2=(n^{2}-2)(n^{2}+2)+6\) ですから、ユークリッドの互除法により \(G_{n}\) は \(n^{2}+2\) と \ ...