2022年度 東京大学理系第6問【点の移動に関する確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 問題文が長く、威圧感がありますが、ルール自体はそこまで複雑ではありません。 (1) の実験的設問でどこまで核心に迫れるかが問題です。 正直、(1) は愚直に全て書き出してもタカが知れています。 ただ、腕力だと (1) は押し切れても (2) で手詰まりの可能性が高いでしょう。 したがって、完答を目指すのであれば (1) の段階から (2) に繋がるような解き方をする必要があります。 本問は要するに 結局移動の方向は3方向しかない 裏が出ると、 ...
2022年度 東京大学理系第5問【空間における回転体】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 空間における立体の体積問題で、東大が好んで出題するテーマの一つです。 通過領域が絡んでいるという点でも東大らしく、「らしさ全開」と言ってよい問題でしょう。 回転後の立体 \(K\) を想像しようとしても難しいでしょう。 ひとまず回転前の状況で \(\mathrm{M}\) が動き得る範囲を捉え、その後その範囲を \(z\) 軸周りに回転させます。 回転前に限定しても動くものが \(\mathrm{P}\) , \(\mathrm{Q}\) ...
2022年度 東京大学理系第4問【全称命題と存在命題】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3次関数についての性質について論じる問題ですが、 全称命題 任意の○○に対して△△が成立する 存在命題 ある○○が存在して☆☆が成立する というような 全称命題、存在命題 を真正面から扱うことになります。 ひとまず出題者との会話のキャッチボールができるかどうかという部分でのフィルターとしてはたらくことになるでしょう。 また、 感覚的に「そりゃそうだろ」 とか、 「この部分直感的に処理しちゃいたいな」 というようなことが多々あるのですが、それを ...
2022年度 東京大学理系第3問【定義の運用】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「十分離れている」という言葉を定義し、その定義に関して何が言えるのか、どうなっていればよいのかを考えさせるという その場力 を要求している問題です。 ソーシャルディスタンスを意識したような用語だなと感じました。 解き終わってみると、特別難しいわけでもなく、計算量自体もそこまで多くはないのですが 様子を掴んだり状況を把握するのにエネルギーを使う と思います。 問題自体の難易度と、試験場での体感難易度には大きなギャップがあるでしょう。 問題自体の ...
2022年度 東京大学理系第2問【漸化式と整数問題】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 漸化式によって定まる数列の整数的特徴を論じる問題です。 一般項を相手にはできませんから、漸化式を漸化式のまま扱うという力が必要です。 随所随所で 問題文で訊かれていること以上のことを見出す ということが必要になってきます。 実験し、手を動かして突破口を見出すことになるのですが、それでも最短距離でスムーズにいける人は割合的には少ないと思います。 難易度的にはやや難です。 試験場ではムキにならず、深追いしない方が得策でしょう。 解答はコチラ
2022年度 東京大学理系第1問【微分法による最小値の導出】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 微分法により、関数の最小値を導出するという基本問題です。 インテグラルを含んだままの関数ですから、最後の最小値の導出にあたっては積分計算についても問われることになります。 やることが明確であるため、方針面で迷うことはないでしょうし、計算の内容や計算量についても標準レベルと言ってよい穏やかなレベルです。 それだけに試験場では確保したい問題と言えましょう。 解答はコチラ
2021年度 北海道大学理系【総評と感想】
今年の北大理系数学を解いての感想です。 難易度について 北大は昔から標準的な問題をベースとした適度な良問を出題している大学です。 今年についてもその特徴は顕在で、すべての問題が決して無理のない標準的な問題のセットだったと思います。 今年のセットは計算量も多くなく、昨年度よりやや易化したと言えます。 2021年度 北海道大学理系 各解説記事 第1問 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 平面ベクトルの問題としての出題ですが、適宜幾何的な見方をすることで、処理を手際よく ...
2021年度 北海道大学理系第5問【パラメータ曲線の扱い】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) パラメータ表示された曲線に関する基本的な扱いに関する問題です。 やるべきことは一本道であり、迷う余地がありません。 時間を奪われてもいけないレベルの問題であり、本問で躓くということは基本事項の抜けがどこかにあることを示唆するでしょう。 計算量もそこまで多くはありません。 そういった意味で、将来的に本問はどこかの問題集に収録される類の問題だと思います。 問題の難易度はやや易と言いたいところですが、出来具合についてはきっちりと差が付くと思います。 ...
2021年度 北海道大学理系第4問【連立漸化式と整数問題】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 連立漸化式をベースとした整数問題であり、ざっと見た感じだと 「証明のベースは漸化式と相性の良い数学的帰納法かな。全貌に関しては手を動かしてみないと分からんな。」 という印象でした。 (1) は計算するだけなので、問題はないでしょう。 (2) ですが、 \(a_{n}\) が常に偶数なのか、\(b_{n}\) が常に偶数なのか、時と場合によって違うのか という疑問のもと、実験して様子を掴んでみようと思いました。 実験の結果、\(a_{n}\) ...
2021年度 北海道大学理系第3問【指数対数についての従属2変数関数】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ざっと見た感じだと (2) のオチは2変数関数の最大問題です。 (1) の設問的にどうやら従属2変数関数であるなということ、つまり (1) は文字消去するためのヒントという位置づけだなということが読み取れます。 したがって、(1) を確保できないとなると、それが (2) まで響いてきてしまい、大怪我に繋がってしまいます。 その (1) ですが、分母の 6 に含まれる素因数 2 や、左辺の + の形が邪魔で、左辺と右辺を見比べるということは難し ...