Kenichiro Iwata

【モットー】:凡人の数学 ☛大学入試の数学は「正しく」勉強すれば報われることを伝えたいと思います。 【生業】:大学受験指導 【経歴】:名古屋大学理学部数理学科卒 【目標】:サイト名に込めました。(現在目標達成に向けて日々邁進)

2021/6/2

√nの小数部分の評価【小数首位について】【2019年度 名古屋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\sqrt{n}=*.0***\cdots\) というタイプの数になるような \(n\) について考えよという問題です。 \(\sqrt{2}=1.4142\cdots\) ,  \(\sqrt{3}=1.732\cdots\) と近似値を覚えている範囲は限界があるでしょうから、どこかで論理的に導出する必要が出てきます。 難易度の感じ方に差がある問題だと思います。 この年の名古屋大学の受験生からは本問の出来は微妙だったという声がよく聞こえ ...

2021/6/1

相反方程式【解き方の確認と周辺知識の足固め】【2011年度 名城大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 係数が左右対称となっているような方程式を 相反(そうはん)方程式 と言います。 ノーヒントかつ初見だとアタフタしますが、大抵誘導がついています。 とは言え仮にノーヒントであったとしてもある程度は対応できるように準備はしておきましょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 偶数次相反方程式の特徴 今回の例題をもとにしますが、偶数次の相反方程式の特効薬は 偶数次の相反方程式の特効薬 真ん中で割る という態度に ...

2021/5/31

帰納法の前段仮定【一昨日昨日(帰納)法】【人生帰納法】【2013年度 東京工業大学】【1998年度 大阪府立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 帰納法の肝である「前段仮定」について考える問題です。 通常の帰納法 昨日法 \(n=k\) のときの成立を仮定して、\(n=k+1\) のときの成立を目指す というタイプは、ダジャレで「昨日法」と呼ばれているそうです。 (前日(昨日)を仮定して今日を示すというニュアンスも込められているらしいです。) それに対して 一昨日昨日法 \(n=k\) ,  \(k+1\) のときの成立を仮定して、\(n=k+2\) のときの成立を目指す というタイプ ...

2021/5/30

2次方程式と定積分の論証【1982年度 関西大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 個人的に大好きな問題です。 急所に辿り着くと一気に話が進んでいきます。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む まともに考えると 与えられた条件である \(\displaystyle \int_{-1}^{1}|3x^{2}+2ax+b| dx\) の処理が面倒です。 \(y=|3x^{2}+2ax+b|\) のグラフが なのか なのかで話が変わりますし、\(x\) 軸に関して折り返している場合においては と ...

2022/10/12

3次方程式と整数解【誘導の活用】【2011年度 横浜国立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3次方程式が整数解をもつための条件を考える問題です。 試験場補正も踏まえると、差が付くレベルだと思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) については問題ないと思います。 微分して \(f'(x)=3x^{2}-6x-4\) ですから \(f'(x)=0\) を考えれば \(x=\displaystyle \frac{3\pm\sqrt{21}}{3}\) を得ます。 (2) について (1) の意味を考え ...

2021/5/28

多項式に関する整数問題と論証【1992年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 多項式に関する問題で、受験生に解かせてみると四苦八苦する生徒が多い一方で、あっさりと解く生徒もいます。 体感の難易度の温度差は大きい問題だと思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1)について ここから差がついてしまいかねません。 帰納法路線だと その場合 \(P_{n+1}(x)=xP_{n}(x)+1\) というように、前段仮定を用いるために\(P_{n}(x)\) に関する漸化式を作ります。 問題の主張 ...

2021/5/26

簡易的なポーカー【ストレートとフラッシュの確率】【1995年度 名古屋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 問題をよくよく観察してみると、トランプのポーカーをモデルにしているということが分かります。 同じ色が揃うというのは、ポーカーでいうと「フラッシュ」ということですし、番号が連続するというのは「ストレート」ということでしょう。 枚数などがオリジナルのルールとは若干違いますが、計算量などの調節のためでしょう。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む フラッシュについて まずは、\(P_{n}\)について考えてみます。 例えば赤が ...

2021/5/25

自然数の累乗の余り【累乗の余りの周期性】【1999年度 お茶の水女子大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) シンプルな整数問題で、教訓を多く含む問題です。 場当たり的に解き進めても、腕力がある人はねじ伏せることができるでしょうが、できれば戦略的に解き進めていく態度で解けるようにしたいところです。 (以下ネタバレ注意)   +クリック(タップ)して続きを読む 闇雲に帰納法を用いても失敗する 自然数 \(n\) にまつわる証明問題ということで、数学的帰納法にとびついた人もいると思いますが、闇雲に飛びついてもそれは毒饅頭です。 以下失敗例です。 ...

2021/5/24

円の弦の通過領域【2円の交点を結ぶ線分】【1994年度 東京都立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 円と円の交点を結ぶ線分の通過領域を求める問題です。 円 \(C\) は固定されていますが、円 \(C'\) の動きは点 \((1 \ , \ 0)\) を通りながら動くというパッと見よく分からない動き方をします。 円 \(C'\) の動きは式的にかろうじて追うことができるでしょう。 その動きに伴う共有弦の動きを細かな部分まで目で追いきるとなると限界があるでしょう。 そのあたりをどのように扱うかは、経験がモノをいいます。 通過領域の根本的な考え ...

2021/5/24

直線の通過領域、線分の通過領域【2009年度 横浜国立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 難関大頻出の話題である「通過領域」の問題の中でも、一番シンプルな「直線の通過領域」について考えます。 さらに、その延長にある「線分の通過領域」についても扱います。 なお、通過領域に関する根本的な考え方については で扱っていますので、考え方の根っこについて押さえたい人はそちらを参考にしてください。 本問は逆像法のココロはおさえた上で、線分の通過領域というワンパンチあるテーマを考えるということで、「実践演習」の方で扱います。 (以下ネタバレ注意) ...

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