Kenichiro Iwata

【モットー】:凡人の数学 ☛大学入試の数学は「正しく」勉強すれば報われることを伝えたいと思います。 【生業】:大学受験指導 【経歴】:名古屋大学理学部数理学科卒 【目標】:サイト名に込めました。(現在目標達成に向けて日々邁進)

2021/8/13

メルセンヌ素数【基本的な性質と完全数との関連】【1962年度 京都府立医科大学ほか】

例題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(2^{n}-1\) という形の数をメルセンヌ数といい、特に素数となるメルセンヌ数をメルセンヌ素数と言います。 メルセンヌ素数は数学的に興味深い性質を多々もちます。 どこまで深入りするかも問題なのですが、今回は基本的な性質と、有名な完全数との関連にスポットを当ててみます。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 直接証明は見通しが悪い \(2^{n}-1\) が素数であるということを数式的に表現するのは難 ...

2021/8/12

補間多項式の考え方【マルコフの不等式】【1981年度 学習院大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) マルコフの不等式と呼ばれる次の定理 マルコフの不等式 \(f(x)\) を高々 \(n\) 次の整式とする。 \(-1 \leq x \leq 1\) において、\(|f(x)| \leq M\) ,  \(|f'(x)| \leq M'\) としたとき \(M' \leq n^{2}M\) が成り立つ。 という定理の \(n=2\) の場合の証明です。 古典的な内容であり、話の進め方も独特なものがありますから初見で対応するのは難しいと思いま ...

2021/8/11

a^n-1についての整数問題【難しくアレンジした場合の考察もあり】【2015年度 九州大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(a^{n}-1\) という形を含む整数問題を扱います。 今回は\(2^{n}-1\) というタイプを例題に持ってきました。 \(2^{n}-1\) という形はメルセンヌ素数や完全数などとの絡みもあり、奥が深いですが、それは後々扱おうかなと思います。 本問は適度な誘導がついているため、標準的な難易度に仕上がっていると思います。 (実際には差が付くレベルの問題で、決して簡単ではないとは思いますが) ひとまず、本問を解いたあと、本問をもう少し難 ...

2021/8/10

定積分を扱う際のモノの見方【2005年度 神戸大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 定積分を含んだ抽象的な関数に関する論証問題です。 定積分をどう捉えるかというのが本問のテーマではありますが、それに加えて、 抽象的な関数に関する心得 というものも今後の糧としたい教訓の一つとなります。   (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む (1) について 今回考える \(\displaystyle \lim_{x \to 0}g(x)=\displaystyle \lim_{x \to 0} ...

2021/8/9

特殊な置換を用いた極限【ノーヒントの場合の考察あり】【2016年度 宮城教育大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 三角関数による置換を用いた極限に関する問題です。 例題としてもってきた問題は丁寧な誘導がついているため、誘導に従っていけば完答することも難しくはないはずです。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む (1) について \(\theta_{n+1}=-\displaystyle \frac{1}{2} \theta_{n}+\displaystyle \frac{\pi}{2}\) という漸化式を解くわけです。 ...

2021/8/8

答案の趣旨を読み取る【他人の答案を説明する力】【2013年度 佐賀大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 他人の答案の趣旨を説明するという、多くの人にとっては目新しく感じる問いかけでしょう。 本問は2013年度佐賀大学の文化教育学部の問題ですが、教員としての説明力や様々な解答を理解する力が問われており、問題を解くのとは別の部分の脳みそを使います。 「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」 を謳い文句とする新課程、共通テストが好みそうな出題の仕方です。 個人的に新課程、共通テストに対して言いたいことは多々ありますが、ここだと話が逸れるの ...

2021/8/7

連分数展開とユークリッドの互除法【1993年度 早稲田大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 不定方程式を解く際に、特殊解を見出して一般解に繋げる定番の話題ですが、連分数展開から特殊解に迫るという問題です。 特殊解を見出す手法として有名なのはユークリッドの互除法のプロセスに現れる 余りを余りで割り続ける という手法ですが、今回の連分数展開と互除法のプロセスが手を繋いでいるという部分まで含めて見ていきます。 ユークリッドの互除法そのものについては でしっかりと確認しておくとスムーズです。 (以下ネタバレ注意)   + クリック ...

2021/8/6

ババ抜きの確率【1995年度 京都大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 問題をよく見てみると、「ババ抜き」をモデルにした問題だと分かると思います。 2人でやるババ抜きはあまり面白くありませんが、数式的には、京大の入試問題として成立するぐらいの問題にはなります。 本問で言う 0 がババに相当します。 この状態でババをもっている \(A\) からスタートしたら、確実に(自動的に)手が進み \(\{0 \ , \ 1 \ , \ 2 \ \cdots \ , \ n\}\) , \(\{1 \ , \ 2 \ , \ ...

2021/8/5

形が同じ2数の大小比較【隠れテーマ複数あり】【2009年度 早稲田大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 大小比較という問題ですが、今回与えられている2数は形が同じで、角度が \(x\) と \(y\) となっているか \(2x\) と \(2y\) となっているかの違いしかありません。 形が同じ2数の大小比較ということで、それにどう対応するかという問題です。 ただ、これは表向きの話題であり、この問題を完答するために必要な隠れテーマも複数あります。 最初から見えるテーマもあれば、解き進めていくうちにそのテーマ性を見抜かなければならない場面にぶち当 ...

2021/8/4

取り除かれるコイン【問題の整理と分類】【2002年度 一橋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) シンプルなルールで題意も把握しやすいですが、やってみると「うるさい」問題です。 MathClinic を活用して勉強していただいている人は「あれ?これってもしかして \(\cdots\)」とピンとくるものがあると思います。 (というかピンとくるものがあってほしいという願望と期待) (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む (1) について まずはこのゲームの要領を肌で感じてくださいという実験的な設問です。 \( ...

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