問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
シンプルなルールで題意も把握しやすいですが、やってみると「うるさい」問題です。
MathClinic を活用して勉強していただいている人は「あれ?これってもしかして \cdots」とピンとくるものがあると思います。
(というかピンとくるものがあってほしいという願望と期待)
(以下ネタバレ注意)
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(1) について
まずはこのゲームの要領を肌で感じてくださいという実験的な設問です。
p_{1} について
p_{1} はいきなりゲームオーバーとなる確率ですから、3枚すべて裏が出る確率で、
p_{1}=(\displaystyle \frac{1}{2})^{3}=\displaystyle \frac{1}{8}
ということになります。
p_{2} について
2 回目の試行でゲームオーバーとなる確率です。
1 回目の試行終了後に
- 3 枚残っている
- 2 枚残っている
- 1 枚残っている
のどれだ?という場合分けが必要になります。
逆に、この場合分けさえできればあとは手なりに計算していくだけです。
(2) について
試行が n 回以上行われるとは
結局何が起こればよいのかということを噛み砕いて考えるのが、この分野のポイントです。(当たり前なのですが)
{}_n \mathrm{ P }_k だの {}_n \mathrm{ C }_k というのはあくまで「数え上げるための道具」であり、「何を数えればよいのか」については頭の力と顎の力が必要です。
今回の「試行が n 回以上行われる」とは
n-1 回目の試行終了後にコインが残っている
ということです。
不謹慎な例で恐縮ですが、人の死に例えることができます。
どんな人でも、人はいつか必ず死にます。
80歳以上で死ぬということは 79 歳まで生きている
ということです。
逆に言えば、
79 歳まで生きていれば、80 歳以上で死ぬ
ということになります。
戦略的には
結局この試行が続くという前提においては
- 硬貨が 3 枚残っている
- 硬貨が 2 枚残っている
- 硬貨が 1 枚残っている
という3種類の状態しかありません。
限られた状態の推移を考える際の武器として有力なのが「漸化式」です。
【戦略 1】【解 1】では漸化式を持ち出して進めていく路線をとっています。
漸化式を持ち出さなくても
コインの残り枚数の推移を直接追っていくことも可能です。
3枚の状態からスタートして
- 3枚→3枚→\cdots→3枚→2枚→2枚→\cdots→2枚→1枚→\cdots
- 3枚→3枚→\cdots→3枚→1枚→\cdots
などのように、だんだんコインの枚数が減っていく感じです。
k 回目に減る場合を考えて、あとで \displaystyle \sum_{ \ }^{ \ } するというように考えるわけです。
この路線については【戦略 2】【解 2】で触れています。
本問の構造は
冒頭で、MathClinic を活用して勉強してくださっている方はピンときてほしいものがあるというお話をしました。
本問の構造は「じゃんけん」と同じ構造をしています。
参考類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
この問題のじゃんけん大会も
- 3人→3人→\cdots→3人→2人→2人→\cdots→2人→1人
- 3人→3人→\cdots→3人→1人
などのように、だんだん人数が減っていく感じです。
このような構造を私は
脱落していく構造
ドロップアウト型の構造
と呼んでいます。
人やモノがどんどん脱落していくという構造です。
ドロップアウト型の特徴としては
- 漸化式を持ち出しても持ち出さなくても処理可能
- 漸化式を持ち出した場合の連立漸化式において、一般項は順次求まっていく
という特徴があります。
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参考確率漸化式【ドロップアウト型~じゃんけん~】【2013年度 名古屋大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) じゃんけんを扱った問題です。 今回のゲームがもつ構造を私は 「ドロップアウト構造」 と呼んでいます。 今回だと3人からスタ ...
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も併せて活用してみてください。
先ほどの参考類題の解答も上の記事の中で解説しています。
本問の教訓としては
一見違う問題に見えても、中身や構造に目を向けると根元の部分は同じこともある
ということで、問題の見てくれで整理するのではなく、エッセンスを抽出するような学習態度を養うことの大切さを実感させてくれます。