今年の京都大理系数学を解いての感想です。
難易度について
切れ味の鋭い論証を含むというよりも、計算が主体の問題が多かったと思います。
そういった意味で、発想面で困る問題は少ないことも考えると全体的な難易度はやや易化したかなと思います。
2021年度 京都大学理系 各解説記事
2021年度 京都大学理系第1問【平面についての対称点】【復元抽出による確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 京大が定期的に出題する小問集合のスタイルで、2019年度 , 2012年度 , 2011年度にも独立した問として、この形式で出題されています。 問1については京大は平面の方程式を前面に押し出す解答で大丈夫でしょう。ベクトルを駆使しながら確実に処理しきりたい問題です。 問2の確率については、単元学習の段階ではちょっとした難問でしょうが、実戦のレベルからすれば基本問題でしょう。 控えめに言って問2を落としてしまうと、ビハインドと ...
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2021年度 京都大学理系第2問【x切片と接点の距離】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 一見して、すぐに 接点を設定して、接線の式を立式 \(x\) 切片を求めて \(Q\) の座標を出す \(PQ\) の長さである \(L\) の式を出す あとは煮るなり焼くなり・・・ と、方針面で困ることはないと思いますので、基本的には計算勝負となるでしょう。 落ち着いて計算ミスに気を付けて進めていきましょう。 ただ、計算してみると分かると思いますが、2 乗につぐ 2 乗が登場しますので、全集中して処理してください。 置き換え ...
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2021年度 京都大学理系第3問【三角関数についての無限級数】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) かわいい顔をしていますが、割と棘のある問題だと思います。 無限級数の問題では、 無限級数の鉄則 部分和をとって、その極限を取る というのが鉄則です。 その鉄則は京大受験生であればクリアーして然るべきでしょう。 そこで、\(\displaystyle \sum_{k=0}^n (\displaystyle \frac{1}{2})^{k}\cos{\displaystyle \frac{k\pi}{6}}\) などと部分和を考えま ...
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2021年度 京都大学理系第4問【曲線の長さと積分計算】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 公式 曲線の長さ(道のり)の公式 \(L=\displaystyle \int_{\alpha}^{ \beta } \sqrt{1+(\displaystyle \frac{dy}{dx})^{2}} dx\) に沿って計算していくだけであり、方針面では困ることはないはずでしょう。 手なりに計算していけば結局は \(\displaystyle \int_{ \ }^{ \ } \displaystyle \frac{1}{\c ...
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2021年度 京都大学理系第5問【垂心の軌跡】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 京大にしては珍しく誘導があります。 (1) は幾何的に攻めたいですね。 2定点を見込む角度が一定ということで、円周角の定理をインスピレーションできるでしょうから、答えはすぐ出せると思いますが、条件 (*) についてどこまで自明のものとして扱ってよいのかという点で書きづらさを感じた人も多いのではないかなと思いました。 (2) は軌跡ですから、基本的には座標的に処理するのが普通でしょうか。基本に忠実に \((X \ , \ Y)\) として \ ...
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2021年度 京都大学理系第6問【素数についての証明問題】【抽象的な関数の論証】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 第6問も独立した2つの問いの形式ということに軽く驚きましたが、そこは「そういうこともあるのか」程度のものでしょう。 問1はメルセンヌ素数( \(2^{n}-1\) という形の素数 )についての有名事実 \(n\) を正の整数として、\(2^{n}-1\) が素数であるならば , \(n\) も素数である。 というものの延長的な話題だと思われます。 シナリオについても決め手が \(x^{n}-y^{n}=(x-y)(x^{n-1 ...
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第1問
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
京大が定期的に出題する小問集合のスタイルで、2019年度 , 2012年度 , 2011年度にも独立した問として、この形式で出題されています。
問1、問2とも基本的な難易度で、落ち着いて確保したい問題です。
2008 年度京都大学
正四面体 \(ABCD\)を考える。点 \(P\) は時刻 0 では頂点 \(A\) に位置し , 1 秒ごとにある頂点から他の 3 頂点のいずれかに , 等しい確率で動くとする。
このとき , 時刻 0 から時刻 \(n\) までの間に , 4 頂点 \(A\) , \(B\) , \(C\), \(D\) の全てに点 \(P\) が現れる確率を求めよ。
という問題において、「動かず、その場に留まる」という設定を加えると、本問の構造となります。
解いていて、ふとこの問題のことが頭をよぎりました。(別に問題を解くのに貢献したわけではありませんが。)
難易度は
問1:やや易 問2:やや易
だと感じます。
第2問
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
方針自体はすぐに立つでしょうし、実際は計算勝負です。
一見してなめてかかると、意外と「集中力がいるな」と思いました。
計算勝負と一言で言ってしまうと簡単なのですが、実際試験場で計算を合わせることは簡単なことではないと思います。
難易度自体はやや易よりの標準だと感じました。
第3問
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
かわいい顔をしていますが、棘のある問題だと思います。
周期性に目を付けて考えるか、経験があれば複素数平面の話題と見ることもできます。
いずれにせよ、京大らしいノーヒント問題なので、構想から考える必要があり、決して簡単ではないでしょう。
2002年度の大阪大学で同じような話題が出題されていますが、複素数平面による解法の誘導がついていました。
本問もセットで \(\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty} (\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\sin{\displaystyle\frac{n\pi}{6}}\) を求めさせたらまた、変わってきたかもしれませんね。
この話題はそれなりに有名であるし、それに頼らず周期性に注目する解法も残されていることも考えると標準と言いたいところですが、現実はやや難に感じる人が多いと思います。
第4問
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
公式
\(L=\displaystyle \int_{\alpha}^{ \beta } \sqrt{1+(\displaystyle \frac{dy}{dx})^{2}} dx\)
に沿って計算していくだけであり、第2問と同様方針面では困ることはないはずで、計算勝負です。
手なりに計算していけば結局は
\(\displaystyle \int_{ \ }^{ \ } \displaystyle \frac{1}{\cos{\theta}} d\theta\)
というタイプの積分計算の処理に帰着します。
京大では 2019 年度の第1問(小問集合)で
\(\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \displaystyle \frac{1}{\cos{x}} dx\)
を求めさせる出題をしており、過去問をやっていれば確実に出会っていることになります。
それだけに落としたくはないでしょう。
第5問
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
京大にしては珍しく誘導があります。
京大は幾何・座標・ベクトルといった図形を扱う際に複数の方針が考えられる問題を出題するのが好きなようで、過去にも度々そういった問題を出題しています。
(2000年代前半に特に多かった印象です。)
本問も多くの方法があるでしょう。
今回はとりあえず2路線考えましたが、落ち着いたら、もう少し色々考えたいなと思います。
難易度自体は標準です。
第6問
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
第6問も独立した2つの問いの形式ということに軽く驚きました。
問1は類題であるメルセンヌ素数( \(2^{n}-1\) という形の素数 )についての問題
\(n\) を正の整数として、\(2^{n}-1\) が素数であるならば , \(n\) も素数である。
という問題を解いたことがあったので、正直手が止まることはありませんでした。
背理法と言う路線は京大受験生であれば手なりにとるであろうことを考えると、初見だとすれば
\(x^{n}-y^{n}=(x-y)(x^{n-1}+x^{n-2}y+\cdots+xy^{n-2}+y^{n-1})\)
という因数分解が常識かどうかで左右されると思います。
問2は、これも京大が定期的に出題する抽象的な関数に関する問題です。
与えられた式を \(\displaystyle \frac{f(a)}{a}=\displaystyle \frac{f(1)}{1}\) と見て、図形的意味を捉えられないかと考えたら
「そりゃそうだわ」
と、題意の主張に納得はしました。
ただ、具体的に \(f(x)\) が与えられているわけではないので、
「どんな意地悪な \(f(x)\) をもってきても題意を満たすか」
ということについて考えなければならないため、ある程度の式的なバックボーンが必要になってきます。
そのあたりをどのように論証するかという点でも難しさを感じるでしょう。
やや難ですが、考えてて楽しい問題でした。
総括
パッと見て「簡単そうに見える」問題が多かったなという印象です。
ただ、実際に手を動かしてみると、意外と五月蝿い問題が並んでいて平常心を乱すセットに感じました。
全体的に計算寄りの問題が多かったのも今年の特徴で、来年度以降の受験生の方にとっては方針や構想を立てて論じきる力を養うということに加えて、最後まで正確に計算しきるということの大切さを意識できるセットだと思います。
2021年度 京都大学理系 各解説記事
2021年度 京都大学理系第1問【平面についての対称点】【復元抽出による確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 京大が定期的に出題する小問集合のスタイルで、2019年度 , 2012年度 , 2011年度にも独立した問として、この形式で出題されています。 問1については京大は平面の方程式を前面に押し出す解答で大丈夫でしょう。ベクトルを駆使しながら確実に処理しきりたい問題です。 問2の確率については、単元学習の段階ではちょっとした難問でしょうが、実戦のレベルからすれば基本問題でしょう。 控えめに言って問2を落としてしまうと、ビハインドと ...
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2021年度 京都大学理系第4問【曲線の長さと積分計算】
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