実践演習 数列系

絶対値付きの2項間漸化式【1986年度 九州大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

受験生にやらせてみると

「絶対値さえなければ」

と、慌てふためく人が多い問題です。

機械的な解法暗記に頼ってきた人や、Mr.丸暗記さんは残念ながら試験場で本問と出会った場合、退場を余儀なくされるでしょう。

当たり前のことが当たり前にできる

ということが前提の上で、ちょっとしたイレギュラーに対応するある種の「逞しさ」を要求する問題だと言えましょう。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

得体のしれない漸化式については

手を動かして実験

というように、ひとまず「彼を知ろう」という気持ちが大切です。

  • \(a_{1}=a\)
  • \(a_{2}=|a|-1=a-1\)
  • \(a_{3}=|a-1|-1=a-2\)
  • \(a_{4}=|a-2|-1=a-3\)

というように、\(9 \lt a \lt 10\) という条件から

しばらくは絶対値はそのまま外れる

ということが分かります。

そうなってくると

  • \(a_{10}=|a-8|-1=a-9\)
  • \(a_{11}=|a-9|-1=a-10\)

とこの辺りから神経を使わなければならないことになります。

次の \(a_{12}\) については

  • \(a_{12}=|a-10|-1=-(a-10)-1=9-a\)

というように、絶対値が符号チェンジで外れることになります。

次の \(a_{13}\) については

  • \(a_{13}=|9-a|-1=a_{11}\)

ですから、次の \(a_{14}\) は

  • \(a_{14}=|a_{11}|-1=a_{12}\)

ということになります。

これ以後は「漸化式による同一のアルゴリズム」によって

\(a_{11}\) ,  \(a_{12}\) を繰り返す

という周期性をもつことになります。

したがって

$$a_{n}=\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a-n+1(n=1 \ , \ 2 \ , \ \cdots \ , \ 10 ) \\
a-10(n=11 \ , \ 13 \ , \ \cdots)\\
9-a(n=12 \ , \ 14 \ , \ \cdots)
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

ということで \(a_{n}\) が得られます。

(2) について

\(a_{n}\) を与える式が

  • \(10\) 以下のとき
  • \(11\) 以上の奇数のとき
  • \(12\) 以上の偶数のとき

という場合によって変わってくるため、

\(S_{n}=a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}\)

についても、同様に場合分けが必要となってきます。

\(n\) が \(10\) 以下のときは

  • \(S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n} (a-k+1)\)

を捌けば問題ありません。

\(n\) が \(11\) 以上のときは

  • \(S_{n}=a_{1}+\cdots+a_{10}+(a_{11}+a_{12})+(a_{11}+a_{12})+\cdots+a_{11}\)

と、\(a_{11}\) で終わるのか

  • \(S_{n}=a_{1}+\cdots+a_{10}+(a_{11}+a_{12})+(a_{11}+a_{12})+\cdots+(a_{11}+a_{12})\)

と、\(a_{12}\) で終わるのか

ということに気を付けて整理していきます。

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