実践演習 方程式・不等式・関数系

合成関数と割り算【複2次式の割り算とその発展】【1999年度 防衛大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

題意はすぐに読み取れるでしょう。

例題に関しては正直煮るなり焼くなり色々出来ると思います。

どちらかというと例題は噛ませ犬的な立ち位置で、実際に考えてもらいたいのは類題の方です。

(以下ネタバレ注意)

 

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例題について

例題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

方針1:頭とケツを見て因数分解

ひとまず、\(f(0)=1\) を満たす2次式 \(f(x)\) は

\(f(x)=ax^{2}+bx+1\) ( \(a \neq 0\) )

と設定できます。

これにより

\(f(x^{2})=ax^{4}+bx^{2}+1\)

となります。

この \(f(x^{2})\) が \(f(x)\) で割り切れるわけです。

4次式を2次式で割った商は2次式ですから、最高次の係数 (頭)と、定数項(ケツ)を見て

\(ax^{4}+bx^{2}+1=(ax^{2}+bx+1)(x^{2}+cx+1)\)

という形で表すことができるでしょう。

つまり、これを \(x\) の恒等式と見て、係数比較すればよいことになります。

未知数が \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\)  と3つあるのに対して、

\(x^{3}\) ,  \(x^{2}\) ,  \(x\)  の係数比較

という3本の条件式が立ちますから、勝負ありです。

方針2:ガチで割り算する

\(ax^{4}+bx^{2}+1\) を \(ax^{2}+bx+1\) でガチで割り算して余りを出してしまい、その余りが \(0\) と恒等的に等しいと処理してもよいでしょう。

この場合、必要なのは計算力と集中力であり、発想面での負担はありません。

類題について

類題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題と違い、\(f(x^{n})=x^{2n}+ax^{n}+b\) ですから、例題と違い、直接的な路線がとれません。

打開策がとれるかどうかは、問題の分析力と観察力にかかってきます。

打開策:全称命題と見抜く

任意の自然数 \(n\) に対して \(f(x^{n})\) が \(f(x)\) で割り切れるのですから、\(n=2\) のとき、すなわち

\(f(x^{2})\) だって \(f(x)\) で割り切れる

ということが言えます。

このことから、\(a\) ,  \(b\)  の値が特定されます。

もちろん、これらの \(a\) ,  \(b\) はこの段階では答えの資格はありません。

これらの \(a\) ,  \(b\) が \(n=3 \ , \ 4 \ , \ \cdots\) でも題意を満たすかどうかの確認をする必要があるわけです。

「すべての ○○ に対して □□ が成り立つ」

という命題を全称命題と言います。

全称命題については、

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でガッツリ扱っています。

今回本問は全称命題を実戦の問題の中で見抜けるかという意図でもってきたため、実践演習の方で扱っています。

例題の解答はコチラ

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