数学的帰納法

2022/9/2

抽象的な事象の確率と漸化式【1985年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 玉を取る、カードを取る、サイコロを投げる、といったいかにも確率の題材となる具体的試行ではなく、ある変数が整数 \(n\) という値をとる確率が \(p_{n}\) という抽象的な設定の問題です。 基本的な処理力だけでなく、その場力も加えた総合的な力が必要な良問です。 試験場ではキッチリと差がつく問題で、確保できればアドバンテージになる難易度だと言えましょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 条件の立式 ...

2022/6/28

相加平均と相乗平均の差【1997年度 滋賀大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(x \gt 0\) ,  \(y \gt 0\) のとき相加平均と相乗平均の関係 \(\displaystyle \frac{x+y}{2} \geq \sqrt{xy}\) は基本中の基本ですが、この相加平均と相乗平均の誤差について考えていく問題です。 結論が示されている証明形式であるため、問題を解くこと自体は標準的な難易度です。 まずは例題でウォーミングアップをして、同じテーマを扱ってはいますがより手ごわい類題にもチャレンジしてみてく ...

2022/6/25

sin∞タイプの極限【1995年度 埼玉大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\sin{\infty}\) という一見収束しないように見える形の極限値を求める問題です。 結果的にこの極限が収束するというのは、感覚的に不思議な感じがします。 本問は適切な誘導があるために、完答するのもそこまで無理な話ではありません。 しかし、ノーヒントだと多くの人がアタフタして終わりということになりかねないでしょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む (1) について ひとまず、目がチカチカする ...

2022/5/6

周期性をもつ3項間漸化式【1992年度 早稲田大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ある漸化式の特性方程式が虚数解をもつときに、その漸化式によって定まる数列が周期性をもつような条件を考える問題です。 睨めっこしだすと頭に血が昇ってしまいますが、色々手を動かしていくうちに打開策が見えてきます。 一難去ってまた一難という感じで、山場が次々とやってきますので、それらを払いのけ、完答するためには確かな力が必要です。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む ひとまず実験 この3項間漸化式を「解きにいく ...

2022/2/26

2022年度 東京大学理系第2問【漸化式と整数問題】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 漸化式によって定まる数列の整数的特徴を論じる問題です。 一般項を相手にはできませんから、漸化式を漸化式のまま扱うという力が必要です。 随所随所で 問題文で訊かれていること以上のことを見出す ということが必要になってきます。 実験し、手を動かして突破口を見出すことになるのですが、それでも最短距離でスムーズにいける人は割合的には少ないと思います。 難易度的にはやや難です。 試験場ではムキにならず、深追いしない方が得策でしょう。 解答はコチラ

2021/10/2

フェルマー数【各種性質】【2006年度 岐阜大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 本問のように、\(n\) を \(0\) 以上の整数として、\(a_{n}=2^{2^{n}}+1\) という形で与えられる数を フェルマー数 と言います。 フェルマー数を小さい方から並べると \(a_{0}=2^{1}+1=3\) \(a_{1}=2^{2}+1=5\) \(a_{2}=2^{4}+1=17\) \(a_{3}=2^{8}+1=257\) \(a_{4}=2^{16}+1=65537\) となり、ここまでは全て素数です。 フ ...

2021/7/22

分数関数の合成とフィボナッチ数列【2015年度 藤田保健衛生大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\displaystyle \frac{1}{1+x}\) という分数関数を合成していく関数列について考える問題です。 1次分数関数を合成した結果も1次分数関数になるわけですが、本問はその中でも \(f_{1}=f_{2}=1\) \(f_{n+2}=f_{n+1}+f_{n}\) というフィボナッチ数列が登場するという点で面白さがあります。 本当は (2) の設問をカットしようかとも思いましたが、ひとまずは原題に近い形にしておきました。 ...

2021/7/3

ラメの定理【ユークリッドの互除法の計算回数】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ラメの定理と呼ばれる、ユークリッドの互除法のアルゴリズムの回数に関する上限を与える定理について考えてみます。 今回はラメの定理の主張を、誘導を付ける形での問題形式として考えてみることにします。 ユークリッドの互除法のアルゴリズムが最も長引くケースにフィボナッチ数列が関わってくる部分に面白さを感じます。 ユークリッドの互除法って何?という方は ユークリッドの互除法が何なんだ?という方は 確認 で原理とイメージ寄りの話をしています。 ユークリッド ...

2021/5/31

帰納法の前段仮定【一昨日昨日(帰納)法】【人生帰納法】【2013年度 東京工業大学】【1998年度 大阪府立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 帰納法の肝である「前段仮定」について考える問題です。 通常の帰納法 昨日法 \(n=k\) のときの成立を仮定して、\(n=k+1\) のときの成立を目指す というタイプは、ダジャレで「昨日法」と呼ばれているそうです。 (前日(昨日)を仮定して今日を示すというニュアンスも込められているらしいです。) それに対して 一昨日昨日法 \(n=k\) ,  \(k+1\) のときの成立を仮定して、\(n=k+2\) のときの成立を目指す というタイプ ...

2021/10/8

sinの和【導出過程から応用例まで】【1994年度 和歌山大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \sin{k\theta}\) について考える問題で、テーマとしては比較的シンプルな話題です。 例題では結果を数学的帰納法で証明するというスタイルで出題されていますが、ノーヒントで導出しろといった場合にどのように導出すればよいのかについてもプラスアルファで考えてみたいと思います。   (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む (1) につい ...

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