実践演習 整数系

格子辺【隣接する格子点を結ぶ線分】【1998年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

格子点ならぬ「格子辺」という言葉を定義し、直線や曲線との交点の個数を考察させる問題です。

地道に手を動かしながら要領を掴んでいくタイプの問題であり、記憶や経験に頼る類の問題ではないでしょう。

そういった意味で、実戦的な演習寄りの目的意識で活用してほしい問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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小さい数で実験してみる

\((630 \ , \ 5400)\) は数が大きいので、もっと小さい数で要領を掴んでみたいと思います。

例えば \((4 \ , \ 6)\) ぐらいで実験してみます。

\(x\) 軸に平行な格子辺との交点について

というように、なにも考慮しなければ、6本の水平線とぶつかるわけです。

このうち、ちょうど格子点を通る回数(この実験の場合2回)を除くことになりますから

\(6-2=4\)【回】

格子辺とぶつかることになります。

\(y\) 軸に平行な格子辺との交点について

同様に考えれば、全部で4本ある鉛直線のうち、ちょうど格子点を通る回数(2回)を除いて

\(4-2=2\) 【回】

格子辺とぶつかることになります。

先ほどの \(4\) 回と併せると、\(4+2=6\) 【回】格子辺と交わることになります。

数が大きくなっても

\((630 \ , \ 5400)\) と数が大きくなったとしても、要領は同じです。

水平線は \(5400\) 本あり、鉛直線は \(630\) 本あります。

このうち、格子点を通る回数が \(m\) 回であった場合、

  • 水平な格子辺とぶつかる回数は \(5400-m\) 回
  • 鉛直な格子辺とぶつかる回数は \(630-m\) 回

ということになりますから、合計

\(6030-2m\) 回

格子辺とぶつかることになるわけです。

したがって、実質的には

何個の格子 "点" を通るのか

という問題に帰着することになります。

この大枠の考え方や要領は、(1) で考える直線だろうが、(2) で考える曲線だろうが同じです。

格子点の基本について

本問とは別の味ですが、そもそもの基本である「格子点の数え上げ」については

参考格子点の個数についての基本【2014年度 中央大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(x\) 座標と \(y\) 座標がともに整数であるような点を「格子点」と言います。 領域が与えられて、その領域内の格子点の個数を数え ...

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